梅田の喧騒から離れたホテルの1階で、ちょっと変わった方法でコーヒーを淹れるお店に行ってきました。Drip-X-Cafe ホテルヴィスキオ大阪店さん。寛ぎたい方も、お急ぎの方も楽しめるお店です。

新旧入り混じる梅田で

大阪の梅田と言えば「キタ」として知られた繁華街で、阪急東通商店街のような昔ながらの大阪臭い通りもあれば、すぐ近くにはグランフロント大阪のようにモダンで洒落た所もあります。Drip-X-Cafeさんがあるのはグランフロント大阪から一筋離れたちょっと地味な場所。ホテルヴィスキオ大阪の1階にあります。

Drip-X-Cafe ホテルヴィスキオ大阪店の店内
ちょっと地味な場所、なんて書きましたがそれは相対的に、という意味。店内はカフェバーのように洒落ています。

そんなDrip-X-Cafeさんを訪れたお目当ては「バリスタチャンピオンの抽出技術を再現した」というドリップマシンでした。ドリップマシンと言えば以前紹介した猿田彦珈琲さんでも使っていますが、自動化されているのは細く注ぐお湯の出方で、ドリッパー側を人が動かすこともありました。Drip-X-Cafeさんは少し違います。

Drip-X-Cafeで使われているドリッパー
想定外だったのは使われているドリッパー。使い込まれた銅製のカリタウェーブです。よく知られたドリッパーですが、使っているカフェは多くありません。

ここでは業務用コーヒーマシンを提供するBREW MATICさんのCurtisシリーズのうち、お客さんに近いカウンター上で淹れることを考えたSeraphimを使っています。

ブレンドコーヒーを注文すると1杯分の豆を挽きます。これはコーヒー専門店の基本と同じですね。余談ですが、コーヒーグラインダーは同じくBREW MATICさんのBARATZAシリーズのものです。

Drip-X-Cafeで使われている自動ドリップマシン
猿田彦珈琲さんのドリップマシンと違い、お湯はシャワー状に出ます。ドリップポットから一筋で注がれる湯と違い、ドリッパーの中でお湯がどのように動くか気になるところではあります。

そのお味は、スッキリした味に仕上がっていました。メニューには豆の記述は特にありませんでしたが、深煎りのブレンドでしょう。スペシャルティコーヒーのような上品な香りは期待できませんが、このスタイルのカフェでこのクオリティは期待以上です。

Drip-X-Cafe ホテルヴィスキオ大阪店の店内でいただくコーヒーとトースト
手前に写り込んでいるのは一緒に注文したベーコンエッグトースト。シンプルで、美味しかったです。

この日訪れたのは、写真を見てお分かりの通り日が暮れてから。来店者は一人でもグループでも、皆さん寛いだ様子でした。でもこの界隈で朝ならきっとお急ぎのお客さんも来ることでしょう。そんなお客さんのためにサッと提供できるコーヒーもありますが、ちょっとだけ時間があるお客さんにこの自動ドリップマシンはちょうど良いのではないでしょうか。

Drip-X-Cafe ホテルヴィスキオ大阪店の店内
カウンター席とパーティションで区切られたテーブル席の壁にはアンティーク小物が並び、寛げるスペースになっています。

ゆっくりしたい人も、ちょっとだけ急いでいる人も、ちょっといいコーヒーを飲める。騒がしい街からちょっと離れた場所にそんなカフェがあるのもいいでしょう。

基本情報

大阪府大阪市北区芝田2-4-10
ホテルヴィスキオ大阪1階

月~木  7:00~18:00
金土日祝 7:00~20:00
最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください

Drip-X-Cafe ホテルヴィスキオ大阪店

考察:味と、効率と、コーヒーの裾野

以前大手シアトル系コーヒーチェーン店でアルバイトとして働いていた友人に聞いた話ですが、そこでは注文された品物を時間内に提供するスキルが評価されていたとのことです。街カフェとは逆の、効率重視ですね。

味はさておき、綺麗な店内で効率よくコーヒーを消費するこのスタイルは日本でも2000年代から定着したコーヒー業界の標準のようです。

Double Tall Cafe BEANSで丁寧にハンドドリップするコーヒー
お洒落なショッピングモール、mozo WONDER CITY内のDouble Tall Cafe BEANSさん。客の回転が早いフードコートから少し離れたエリアで丁寧にハンドドリップします。同じモール内の効率系チェーン店とは業態が異なります。

前述の猿田彦珈琲さんの名古屋則武新町店はショッピングモールのフードエリア内にあり、基本的に自動化されたマシンでコーヒーを淹れますが、頼めばハンドドリップしていただけます。

そこで淹れるのは、スペシャルティコーヒー。コーヒー専門店にわざわざ足を運ばないような人にでも美味しいコーヒーを楽しんでもらえる、そんなコーヒーの裾野を広げる場所ではないかと思います。

猿田彦珈琲 名古屋則武新町店でマシンを使ってコーヒーを淹れる
猿田彦珈琲さんのドリップマシンはドリップポットから注ぐように湯が細く出るので、ドリッパー内の湯の動きも再現できるのでしょう。

私は時折このブログでドリップマシンで淹れた作り置きのコーヒーを否定的に書きますが、コーヒーを淹れる機器は進化しています。そのように淹れられるコーヒーは質の低いの豆を使うことが多く(コモディティコーヒーで、かつ挽いた状態で置かれている)、機械で淹れたコーヒーの不味さを考える時は機械の性能と豆の品質を分けて考慮する必要があるでしょう。

ぴよりんカフェことCafe Gentianeの店内
こちらは名駅ベーカリーカフェめぐりで番外編として紹介した、ぴよりんカフェことCafe Gentianeさん。大量に作り置きしたコーヒーを加熱しながら保温しています。ここはぴよりんを楽しむお店と割り切り、コーヒーの味には目をつむりました。

ドリップマシンで大量に淹れたコーヒーは保温のために加熱した状態で長く置かれることがあるので、機械の性能に関わらず必然的に不味くなります。

一方で、エスプレッソ系コーヒーの場合は基本的に淹れたてで提供されるので、技術の進歩により、全自動の機械で淹れたものであっても結構おいしかったりします。ファミレスのドリンクバーのコーヒーとは全然違います。

Bakery & Restaurant SAWAMURA 名古屋のカフェラテとフォカッチャ
これはBakery & Restaurant SAWAMURAさんでいただいたカフェラテ。SAWAMURAさんはベーカリーなのでプロのバリスタさんはおらず、全自動のエスプレッソマシンで淹れます。が、機械の性能が良いようで、味は遜色ありません。

機械で淹れたコーヒーは味気ないとは言わず、技術が進歩すればその恩恵を享受したいです。コーヒー専門店じゃなくてもそこそこ美味しいコーヒーが飲めるのは良いことでしょう。効率最優先はイヤですが、効率化によりコーヒーの裾野が広がることは、コーヒー好きとしても嬉しいです。

でも、人に淹れてもらったコーヒーって、美味しいんですよねぇ。

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