以前紹介した無印良品のドリッパーで、今回は無印良品のコーヒー「ダーク」を淹れてみます。深煎りコーヒーをスイーツと合わせて、せっかくなので器なども無印良品製品で揃えてみました。

無印良品製のコーヒードリッパー「磁器ベージュ ドリッパー 1杯用」については以前「十人十色のハンドドリップ:MUJIのドリッパーって、どぉ?」で詳しく説明しましたので、そちらも参考にしてください。

無印良品製 1つ穴ドリッパー
台形で底に小さな穴が1つ空いた「メリタ」のようなドリッパー。この小さな穴から一定の速度でお湯がゆっくり抜けます。

MUJIのドリッパーって、どぉ?」では自宅で手網焙煎(ホームロースト)した深煎りと中煎りの豆をそれぞれ淹れましたが、今回は無印良品のコーヒー豆「ダーク」を淹れてみます。

無印良品のコーヒー豆「ダーク」の特徴

正しくは「オーガニックコーヒー ダーク 豆 200g」という商品名です。「オーガニック」を冠するところは、さすが無印良品ですね。コロンビアとホンジュラスの豆を深煎りにしているとのこと。「豆」と、挽いてある「粉」を選べますが、少しくらい手間をかけても「豆」がいいですね。

無印良品 オーガニックコーヒー ダーク
「深いコクと程よい苦みが特徴」のダーク。コーヒー豆は挽いた後はどんどん劣化するので豆の状態で買って、淹れる直前に挽くのがお勧めです。

表示をよく見ると製造所は「ユーシーシー上島珈琲」であることが分かります(OEM、即ち「餅は餅屋」ですね)。賞味期限はありますが、さすがに焙煎日までは書いてありません。

1杯分の目安は
 コーヒー 10~12g
 お湯 140~160ml
とのこと。この比率は概ね1:13~1:14で、以前「十人十色のハンドドリップ:準備編」で例として挙げた数字の真ん中辺りです。もちろんこれは目安ですので、「準備編」でも書いたように好みの違いがあっていいと思います。コーヒーは楽しむものですから。

尚、この160mlという量は無印良品のカップ「小 210ml」にちょうどいいです。MUJIドリッパー「1杯用」では持て余してしまう量ですが、大は小を兼ねるということで、この量で淹れてみます。

MUJIドリッパーでMUJIコーヒー「ダーク」を淹れる

ハンドドリップの準備は「十人十色のハンドドリップ:準備編」で詳しく説明していますので、そちらも参照してください。大雑把に説明すると、

コーヒー豆の量を計って、挽く
ドリッパー、サーバー、カップを温める
フィルターをセットして、挽いたコーヒー粉を入れて平らにならす

と、ここまでが準備になります。その後の「MUJIのドリッパーって、どぉ?」では「メリタ式」と「メリタじゃない式」の2通りの方法で深煎り豆を淹れました。今回はその中間的な方法で淹れてみます。このシリーズで冠するように、ハンドドリップは「十人十色」ですから、色々やってみましょう。

そのお味は、
一口目で、まろやかな苦みの中にほんの微かな酸味を感じました。二口目以降はしっかりした苦みと、深煎りらしいコクを感じられます。それでもヘタなコーヒーにあるエグ味のある苦さではないですね。正直なところ、嫌味な言い方を承知で言わせていただきますと、普段はホームローストした鮮度の良いスペシャルティコーヒーを飲んでいますので、ちょっと… と思っていましたが、思いの外楽しめました。

とは言え、蒸らす時に分かったように鮮度はあまり良くないので、味を楽しむためには熱いうちに飲んだほうが良さそうですね。鮮度の良い豆で淹れると、冷めても美味しいんです。この「鮮度」については後で詳しくお話します。

では、この深煎りコーヒーをスイーツと合わせてみます。

コーヒーと食べ物の相性

ワインの世界のプロは、料理に合ったワインを選ぶのも仕事のうちだそうですね(ワインのことはよく知りませんが)。コーヒーはもっとカジュアルに楽しめるものですが、それでも飲み物と食べ物の相性を楽しむということは共感できそうです。

Japan Coffee Festivalで知り合ったみどりさんが小猿珈琲さんで中深煎りのコーヒーとかぼちゃのチーズケーキのおススメの楽しみ方を教えてくれたことは今でも覚えています。

子猿珈琲の中深煎りコーヒーとかぼちゃのチーズケーキ
OSARU COFFEEさんを「間借り」した小猿珈琲さんにて。緑色のカップも、小猿のイラストも懐かしいです。スイーツと合わせて起こるコーヒーの「味変」も楽しみました。

実際、前出の無印良品のウエブサイトでオーガニックコーヒーを紹介するページでも「食べ物とのペアリング」について述べています(ワイン通の言葉を借りれば「マリアージュ」ですかね)。実はそこで紹介している相性の良い組み合わせは、

相性の良いお菓子や食べものと一緒なら、コーヒータイムはさらに特別なひとときに。すっきりとした後味のオリジナルブレンドは、クッキーやチョコレートにぴったりです。コクのあるダークは、チョコレートの甘さやナッツの香ばしさを引き立てます。ラテ用ブレンドは、バターを使ったコクのある焼き菓子とご一緒に。さわやかな風味のカフェインレスはドライフルーツやチーズなど、酸味のある食べものとの相性抜群です。

MUJI 無印良品ウェブサイト「オーガニックコーヒー ダーク 豆 200g」(https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550182198522)

つまり「ダーク」に合うのは「チョコレートの甘さやナッツの香ばしさ」なのですが、ここでは敢えて私が個人的に好きな「ダーク」と「コクのある焼き菓子」を合わせてしまいます!

せっかくMUJIのドリッパーでMUJIのコーヒーを淹れたので、MUJIのスイーツを合わせてみました。選んだのは「不揃い バナナバウム」です。

無印良品 不揃い バナナバウム
今では随分と種類が増えた無印良品の「不揃いバウムクーヘン」ですが、このバナナバウムは初期の頃からのお気に入りです。コーヒーにも合います。

バナナバウムの後味が残った状態でダークコーヒーを口に含むと、口の中で「味変」が起こります。甘すぎないバナナバウムと、まろやかな苦さとコクがあるコーヒーの相性が私は好きです。「コク」と「コク」もぶつかり合わず、むしろ引き立て合います。

こんなご時世だから楽しみたい「おうちカフェ」

上の写真では、実はランチョンマットも無印良品で揃えてしまいました。個人的に無印良品のデザインは好きですし、こんなことができるのも生活の品が揃う無印良品ならでは、です。

無印良品製品で揃えた「おうちカフェ」
おうちカフェを無印良品製品で揃えてしまいました。

上の写真のコーヒーカップは、前述のように160mlのコーヒーを入れるのにちょうどいい無印良品の「磁器ベージュ カップ 小 約210ml」です。もちろん、目一杯注いで210mlですので、普通に注ぐなら160mlくらいになります。

無印良品製のコーヒーサーバーはないので、これはお気に入りのKINTO製です。

KINTO製コーヒーサーバーと無印良品製コースター
コーヒーは楽しむものですから、器具も楽しんでいいと思います。ミニマルなKINTOのデザインは無印良品製品とビジュアル的な相性も良いようです。

地味ですが、KINTO製コーヒーサーバーを載せているのは無印良品製コースターです。ランチョンマットと同色のものもありましたが、敢えてアクセントとして違う色を選びました。

今は「自粛疲れ」なんて言葉もありますが、自粛生活を楽しんでも不謹慎ではないと思います。むしろ人として自然なことでしょう。コーヒーは眠気を覚ます薬ではありませんし、スイーツは空腹を満たす食糧ではありません。楽しむものです。今回は私が個人的に好きなMUJIで「おうちカフェ」を作りましたが、人それぞれ自分好みのおうちカフェを楽しんでいいと思います。

最後にコーヒー豆についてちょっと考えてみます。

コーヒー豆の「賞味期限」って?

農林水産省は賞味期限を次のように説明しています。

袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。 (…) この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。

農林水産省ウェブサイト「消費期限と賞味期限」(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html)

その期限を過ぎたら食べないほうがいい「消費期限」とは違います。

上述の無印良品の「オーガニックコーヒー ダーク 豆 200g」のページを見ると賞味期限は製造日から365日であることが分かります。文字通りに解釈すると、このコーヒー豆は製造日から1年以内はおいしく飲める、ということになります。

尚、コーヒー豆は収穫してから時間をかけて精製され、生産地で「生豆」になってから日本に輸入されるまではさらに長い時間が必要です。日持ちする生豆の状態で輸入されたコーヒー豆は日本国内で焙煎され、製造日は通常「焙煎日」を指します。無印良品のコーヒー豆も国内で焙煎していることは分かりますが、焙煎日までは言及していませんので、おそらく焙煎日が製造日でしょう。

Cafe MUJI イオンモール茨木店のメニューと焙煎機
Cafe MUJI イオンモール茨木店さんは自家焙煎のお店で、なんと店内のメニューには焙煎日が書いてありました。(残念ながらCafe MUJI イオンモール茨木店さんは閉店されてしまいました。)

今回使ったコーヒー豆の袋に記載された賞味期限から逆算すると、この豆は焙煎してから4か月ほど経っているようです。

準備編」や「MUJIのドリッパーって、どぉ?」の動画を見ていただければ、コーヒー粉にお湯を注いで蒸らすとプクーっと膨らむのが分かると思います。この時はホームローストしてから二日目の豆を使いました。一方、今回の動画ではコーヒー粉が全然膨らんでいないですよね。これが鮮度の違いです。

Japan Coffee Festival 2019に出店した東三国珈琲焙煎研究所
Japan Coffee Festivalを主催する川久保さんのお店、東三国 珈琲焙煎研究所さんの豆はさすがです。面白いくらいプックーと膨らみます。

準備編」で説明したように、生豆を焙煎すると二酸化炭素が生じて、豆を挽いてお湯を注ぐとこの二酸化炭素が外に出てきて「プクー」っとなります。しかし二酸化炭素は焙煎した後、徐々に抜けていき、その時に香りの成分も一緒に抜けていきます。つまり、焙煎してから時間が経てば経つほど二酸化炭素が抜けて膨らまなくなり、香りも弱くなる、ということです。これがコーヒー豆の「鮮度」です。

このことは以前紹介した本「コーヒー『こつ』の科学」で詳しく説明されています。

では、焙煎してから時間が経ったコーヒー豆は味が落ちるということでしょうか。概ね、そうです。これが「賞味期限」ということです。ホームローストした豆や、自家焙煎のお店や焙煎所から直接仕入れた豆を使うお店で買った鮮度の良い豆は、時間とともに味が変わるのが分かります。

熱田のBRIGHT COFFEE STAND
熱田にあるBRIGHT COFFEE STANDさんは焙煎所から鮮度の良い「ピチピチ」の豆を仕入れていて、豆を買うと袋に焙煎日を書いてくれます。

しかし一方で、上述の「コーヒー『こつ』の科学」では焙煎して一年経ったコーヒー豆をおいしいと感じる人もいると述べています。人はそれぞれ好みの違いがありますから、そう感じる人がいても不思議ではありません。結論は、コーヒー豆の「賞味期限」を決めるのは簡単ではなさそうですね。むしろ、自分の好みの豆の状態を探ってみるのも面白いでしょう。

今回は「ダーク&スイーツ編」でしたが、違う組み合わせの「おうちMUJI Cafe」も試してみたいです。

参考文献

この「おうち“MUJI”カフェ:ダーク&スイーツ編」では私の本棚にある以下の本を参照しています。

コーヒー「こつ」の科学

こつの「科学」と言っても、理系の人向けに書かれた本ではありません。理系科目に苦手な人も無理なく読める内容です。コーヒー豆を焙煎することにより起こる科学反応や、その後焙煎豆に起こる変化についても説明しています。

コーヒー「こつ」の科学

コーヒーを正しく知るために

著者

石脇智広

発行者

石丸兼一

発行所

株式会社柴田書店

発行日

初版発行:2008年9月10日
10刷発行:2019年7月10日

定価

1,980円 (税込、2023年3月時点)

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