久々に訪れた東京で、お気に入りのカフェの本店に行ってきました。猿田彦珈琲さんの恵比寿本店。有名店の本店は思った以上にこぢんまりとしていて、期待以上に温かい場所でした。

久々に訪れた恵比寿で

コーヒー好きの間では、猿田彦珈琲さんと言えば独自のコーヒー豆の流通ルートを持ったコーヒー屋さんとして知られていて、以前紹介した名古屋則武新町店に行く時はいつも「今日はどんな豆があるのかな」と楽しみにしています。

この日は代官山で用事があったので、折角なので恵比寿駅で降りて先に猿田彦珈琲さんに行くことにしました。

猿田彦珈琲 恵比寿本店の店内
カウンターの向こうには名古屋則武新町店で見慣れた独自のドリッパーが見えます。

レトロ感のある店内には小さなテーブル席がいくつかと窓に面したカウンター席がある、こぢんまりとした「街カフェ」です。実際、普通に街カフェとして利用するお客さんは多いでしょう。小腹を満たすパンも揃っているようです。

猿田彦珈琲 恵比寿本店で扱うコーヒーとパン
このブログには「ベーカリーカフェ」というカテゴリーがありますが、そこに分類しても間違いではなさそうです。

でもさすが、コーヒー専門店ですね。取り扱う豆がちょっと違います。

猿田彦珈琲 恵比寿本店で扱うコーヒー豆
プレートを入れ替えやすそうなボードには、オリジナルブレンドに、あまり見慣れないシングルオリジン。

私の目を引いたのはイエメンのコーヒー。アラビア半島の南端にあるイエメンがコーヒーの産地ということはなんとなく知っていましたが、記憶にある限り実際に見るのは初めてです。どんな豆か尋ねると、気さくで親切なスタッフさんが丁寧に説明してくださいました。選んだ豆に合わせるパンはどれが良いか聞いても、もちろん適切にアドバイスしてくれます。

ベーカリーのような猿田彦珈琲 恵比寿本店で扱うパン
ここだけ見たら普通にベーカリーですよね。実際、OQUINHO(オキーニョ)は猿田彦珈琲さんがプロデュースするベーカリーだそうです。

浅煎りのイエメンには、ネーミングも可愛い「柚子ベリーみるく」を合わせることにしました。

イエメン – YEMEN Bait Yasin XI Alchemy

ここ数年で見かけることが増えた「アナエロビック」は比較的新しいコーヒー豆の精製方法で、嫌気性菌を使って発酵させることで独特の風味が生まれるのが特徴です。今でもコーヒーを生産する各国で進化が続いているようです。

以前名古屋のGLITCH COFFEEさんを紹介した時にコーヒー豆の精製方法についてちょっと書いていますので、興味のある方は見てみてください。

このイエメンは、その嫌気発酵過程を3段階に分けて慎重に精製したとのこと。期待が高まります。そのお味は。

猿田彦珈琲 恵比寿本店のカウンター席でいただくコーヒーとパン
小さなカウンターですが、コーヒーとパンをいただくのにはちょうどいい大きさ。

フルーティーなのですが、どんなフルーツに例えればいいのかな? って感じの個性的な香り。ザクロでもない、ダークチェリーでもない。そんなことを考えていたら爽やかなスタッフさんが声をかけてくれました。私の疑問を伝えると、

トロピカルフルーツみたいですよね、夏にピッタリな。

そう、それ! 流石は猿田彦珈琲のスタッフさん。初来店の私にも常連客のように話しかけてくれるホスピタリティもさることながら、味の説明も心得ています。

ちなみに、イエメンとは紅海を挟んで地理的に近いエチオピアは「モカ」で有名ですが、元々モカとはモカ港から出荷されるコーヒー豆の総称。そのモカ港はイエメンにあります。

先ほどイエメンのコーヒーは「記憶にある限り初めて」と書きましたが、「モカ」として飲んだことはあるかもしれません。

話は戻って、今回いただいた浅煎りのイエメン。フルーティーさに被る個性的な香りは、ウイスキーのよう。その味の深みには、深煎りのそれとは違う「コク」があります。温度が下がってもフルーティーさは失われず、最後まで美味しくいただきました。

柚子ベリーみるく

語呂はラズベリーみたいですが、入っているのは柚子ピールとクランベリーです。フルーツの和洋折衷ですね。

猿田彦珈琲 恵比寿本店の柚子ベリーみるく
パンとコーヒーはテッパンの組み合わせですが、それぞれの個性を合わせるのが好き。

口に含むと、まず柚子の優しい香りがフワッと漂い、噛めばクランベリーの強い香りが広がります。パン自体の食感も程良くモチッとして、いいですね。

お勧めの通り、フルーティーな浅煎りとの相性は抜群です。

猿田彦珈琲 恵比寿本店で扱う各種コーヒー豆
おうちカフェに欠かせないコーヒー豆も揃えています。

私がカウンター席でコーヒーとパンを楽しんでいる間も次々に来客がありましたが、常連らしい方も度々訪れ、お店の方との楽しい会話が聞こえてきます。街カフェの温かさですね。どのスタッフさんも私に対して常連客のように接してくださいました。

地方には「東京の人は冷たい」とかいう人がいますが、そんなことないですよ!

最後に、猿田彦珈琲さんの特徴のひとつでもあるダイレクトトレードについて考えてみます。

基本情報

東京都渋谷区恵比寿1-6-6 斎藤ビル1階

月~木 8:00~22:00

金 8:00~23:30

土 10:00~23:30

日 10:00~22:00

最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください

猿田彦珈琲 恵比寿本店

ダイレクトトレード

最近目にすることも増えたスペシャルティコーヒーは「すごーく美味しいコーヒー」と思っていただいても差し支えありませんが、その味や香りと同じくらい大事なのはトレーサビリティ、つまりコーヒーノキの栽培から1杯のコーヒーになるまでの過程が明確であることです。

例えば、大阪のCAFETALESさんは個人経営の街カフェでありながら、コロンビアのコーヒー農家から直接生豆を仕入れる珍しいお店で、トレーサビリティがしっかりしています。

CAFETALESの店内に掲げられたパネル
コロンビアコーヒー専門店CAFETALESさんの店内にはコーヒー生産者を説明するパネルが掲げられています。

トレーサビリティについてはCAFETALESさんを紹介した時に少し説明していますので、興味がある方は見てみてください。

トレーサビリティを明確にすることはコーヒー豆の品質を保証するだけではなく、コーヒー生産者を守る目的もあります。生産者を守るための取り組みの一つとして知られた活動は、フェアトレードでしょう。

世界フェアトレード・デー・なごやのコーヒーサミットでは、様々な活動をされる方たちから話を聞いてきました。

第14回 世界フェアトレード・デー・なごや

名古屋で開催される恒例のイベントに行ってきました。コーヒーサミットに参加した28団体の中から「若い力」と「エシカル」に焦点を当てて紹介します。

コーヒーサミット @ 第14回 世界フェアトレード・デー・なごや

フェアトレードは認証制度ですが、もちろん、然るべき団体からの認証がなくても公正な売買(トレード)を保つ取り組みを行う団体は数多くあります。

先述のように、猿田彦珈琲さんはその独自の流通ルートで知られています。それが、ダイレクトトレード。店内に掲げられたプレートにはこのように説明されています。

ダイレクトトレードとは、コーヒー農園と信頼関係を築き正当な価格で取引をすること。僕たち自身が、自分たちの目と鼻、味覚と経験で厳選した自信のコーヒー豆で農園とお客様を正当な価格で結ぶことができるのもダイレクトトレードだからできることです。その豆をブレンドコーヒーを含む全てのコーヒーで使用している事は僕たちの誇りです。

猿田彦珈琲
猿田彦珈琲のダイレクトトレード

世間には残念ながらダイレクトではなくフェアではないトレード、つまり中間業者によって価格交渉がなされ、生産者が不利益を被った上で流通するコーヒー豆もあります。コーヒー豆生産者を守る責任は、コーヒーを消費する私たちの選択にも委ねられています。

参考文献

コーヒーの淹れ方はもちろん、スペシャルティコーヒーやコーヒー生産国など、コーヒーに関する幅広い情報を網羅しています。

極める 愉しむ 珈琲事典

THE COMPLETE GUIDE TO COFFEE

編者

西東社編集部

発行者

若松和紀

発行所

株式会社西東社

発行日

2017年12月7日

定価

1,650円 (税込み、2023年3月時点)

合わせて見たい

前述のように、名古屋にある猿田彦珈琲さんの名古屋則武新町店はお気に入りです。店名にもなった猿田彦命の神話も紹介しています。

猿田彦珈琲 名古屋則武新町店

ショッピングモールでは期待できないクオリティの高いコーヒーを提供するお店を、イオンモールNagoya Noritake Gardenで見つけました。

猿田彦珈琲 名古屋則武新町店

猿田彦珈琲さんで買ってきたCOE (Cup of Excellence) のエチオピアを自宅で淹れた時の様子を綴りました。

浅煎りのエチオピアを淹れてみた

COEを受賞したエチオピアの浅煎りを、ゴールドメッシュフィルターとセラミックフィルター、個性が大きく違うフィルターで淹れ比べました。

浅煎りのエチオピアを淹れてみた

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