東海地方で活動している様々な分野の職人さん達が集まるイベント、CRAFT MARKET NAGOYAで出会ったコーヒー豆専門店、乳久保珈琲焙煎所さん。おうちカフェ用に買ったコーヒー豆を、同じイベントの「戦利品」のスイーツと合わせてみました。
CRAFT MARKET NAGOYA Vol.5 に行ってきた
様々なジャンルのクリエイターさん達がハンドメイドの作品を販売するイベント、CRAFT MARKET NAGOYA。圧倒的に多いのはアクセサリーショップで、飲食系は少数派ですが、事前に見ていたその飲食系出店者一覧の中で気になっていたのが乳久保珈琲焙煎所さんです。
実際に会場でブースを見つけて、お、と思いました。品揃えが個性的ですから。

まず気になったのは、日本ではまだアラビカ種の流通が少ないタイのコーヒー豆。以前SOCIAL TOWER MARKET 2024でお会いしたwhat’s!? coffeeさんや、Butteryさんの名駅桜通店でいただいたタイは浅煎りでしたが、こちらは深煎りです。

タイのコーヒー生産についてはButteryさんを紹介した時に少し説明しているので、気になる方は見てみてください。
次に気になったのは、中浅煎りのインドネシア マンデリン。インドネシアと言えば深煎りが定番で、浅煎りの良さに目覚める前の私の一番のお気に入りは深煎りのマンデリンでした。先日京都で訪れた小川珈琲さんの堺町錦店でいただいたインドネシアの中煎りは珍しいと思いましたが、またお目にかかりました。

と言うことで、タイとインドネシアの豆を買って帰ることにしました。CRAFT MARKETのいいところは、他の飲食系ブースでお伴のスイーツも買えること。ここで買ったスイーツはスピンオフブログ「SweetsオトコのCafeめぐり」のSweets写真館で紹介しています。
このイベントで買ったコーヒーとスイーツを合わせたおうちカフェの様子は次章で紹介します。

余談ですが乳久保珈琲焙煎所さんは、私が5年ほど前大阪に住んでいた時に神戸や高野山で参加したJapan Coffee Festivalにも出店されたそうです。懐かしいです。
基本情報:乳久保珈琲焙煎所
乳久保珈琲焙煎所さんはイベント出店のほか、ネットショップでコーヒー豆を販売しています。
chicoffeeros.base.shop (BASE)
creema.jp/c/chicchicoffee (Creema)

CRAFT MARKET NAGOYA Vol.5
おうちに帰って淹れてみた
コーヒー豆もスイーツも鮮度が大事ですからね、早速自宅で淹れてみました。パッケージには焙煎日も記載されていて、タイの豆の焙煎日はイベントの2日前でした。出店準備なども考えるとギリギリの日程と察します。
賞味期限は「焙煎日から3ヵ月を目安に」とあります。この賞味期限はメーカーや焙煎士によって異なり、1か月だったり、半年だったりもします。

コーヒー豆の賞味期限については「おうち“MUJI”カフェ:ダーク&スイーツ編」で考察しています。気になったらちょっと見てみてください。
お伴は、蓮根や黒豆を使ったエール・ブランシュさんのスイーツ。前述のように、同じCRAFT MARKETの戦利品です。せっかくなので私のドリッパーコレクションの中からお気に入りの4種類を選んでみました。
タイ × カリタ3つ穴 + マダム・レンコン
まずは深煎りのタイ。色はガッツリ濃く、早くも豆の油分が表面に浮き出ています。
選んだドリッパーは、個人的には深煎りと相性が良いと思っているカリタの3つ穴。「中煎りのエチオピアを淹れてみた – 新旧カリタ淹れ比べ」をはじめ、おうちカフェで度々登場しているお気に入りのドリッパーです。

そのお味は、最初の一口で感じる、とてもまろやかなコク。カリタの3つ穴ファンなら、このコクは3つ穴で出せるコク、と同意していただけるでしょうか。次第にそのコクの中から深煎りらしい苦味が出てくるのですが、その苦味がまろやかで、上品。
合わせたのは、レンコンがゴロっと入ったパウンドケーキ、その名もマダム・レンコン。

レンコンのシャキシャキ食感が印象的な、甘い香りのパウンドケーキ。このパウンドケーキの後味が残るところに深煎りのタイを飲むと、相対的にその深みが引き立ちます。いい組み合わせでした。
この様子は「Sweets写真館」でも紹介しています。
同じ深煎りのタイを違うドリッパーで淹れて、違うスイーツと合わせて見ました。
タイ × 63COFFEEMAKER + こめそう
次に選んだのは「深煎りのコクも出せる」という宣伝文句につられて買った63 COFFEEMAKER doublewall stainless steel filter。このブログでは「十人十色のハンドドリップ:メッシュvsペーパー 壱 中煎り編」以来久々の登場です。

KINTOのフィルターのようにステンレスのプレートに小さな孔をあけたフィルターにメッシュを重ねた二重構造が特徴で、湯の注ぎ方を調整してゆっくり淹れることもできます。余談ですが下の写真、4年前よりも使い込まれ感がありますね。
そのお味は… 信じ難いかもしれませんが、その香りにすでにコクを感じます。口に含むと、期待を裏切らないコク。苦味は、豆の色から想像するよりもマイルドです。このマイルドさは、メッシュを通り抜けて抽出される油分も影響しているかもしれません。コクと香りを楽しむコーヒーに仕上がりました。
合わせたのは、日本酒に付け込んだ黒豆が入った「こめそう」という名のパウンドケーキ。

このパウンドケーキ、日本酒の香りをハッキリ感じるのに、甘~い風味も特徴的。その後味が残るところに深煎りのタイを飲むと、最初の一口目だけですが、その苦味がちょっとシャープに感じられました。こちらも良い相性でした。
インドネシア × カリタウェーブ + はすの花びら
次は中浅煎りのインドネシア マンデリン。マスターが教えてくれた、焙煎が進むと良くも悪くも失われるものがある、という話が印象的でした。マンデリンらしさを出しながら、それ以上焙煎すると失われるものが残っている。
焙煎の初期段階では生豆に含まれる水分が抜けて豆が収縮するため、表面にシワが寄ります。焙煎を進めると豆の内部の圧力が上がって膨らみ、シワが伸びてきます。やがて一度目の破裂音がする「1ハゼ」が起こり、少し間をおいて「2ハゼ」が起きてからも焙煎を続けると深煎りになり、シワは無くなります。
この中浅煎りは2ハゼが起こる前に焙煎を止めたもので、表面にシワが残っているのが分かります。
選んだドリッパーはカリタウェーブ。前述の「新旧カリタ淹れ比べ」で登場した、3つ穴より新しいカリタのドリッパーです。実はドリッパーの底に開いた穴の数は同じ3つなのですが、「3つ穴」の称号は先輩に譲ったようです。

そのお味は、今度は逆に、豆の色からは想像しなかった苦味が感じられます。それでも、酸味とは違う中煎りらしいフルーティーさがあり、ダークチェリーというか、ドライフルーツというか、独特の香りがあります。
合わせたのは「はすの花びら」という名のフィナンシェ。マダム・レンコンよりも小ぶりのレンコンが入っています。

こちらももちろん、Sweets写真館で紹介しています。
インドネシア × KINTO + ブールドネージュ
最後に、同じ中浅煎りのインドネシアをKINTOのステンレスフィルターで淹れてみました。前述のようにステンレスのプレートに小さな小さな孔が開いています。豆を挽く時に出る細かい粉はこの孔を通ってしまいますが、ペーパーフィルターは通らない成分も多く抜けていきます。
このステンレスフィルター、同じKINTOのペーパーフィルター用ドリッパーに嵌めて使うこともできて、私はこの組み合わせで使うことが多いです。
そのお味は、全体的にスッキリした仕上がりで、ほんのりと柑橘系のような爽やかさがあります。同じ豆でも、使うフィルターが違うとこれ程違う風味になるのですから、コーヒーを淹れるって面白いですよ。インドネシア マンデリンにもこんな味があるんだ、という意外な風味です。
合わせたのは「ほろほろクッキー」ことブールドネージュ。

その食感はホントにほろほろで、身に纏った砂糖のふわふわ感と相まって軽い口当たり。この独特な食感と、軽やかな風味の中浅煎りのマンデリンは良い組み合わせになりました。
今回エール・ブランシュさんのスイーツを4個買ったのは、4個で1,000円と言うお得な値段になる、という単純な理由から。でもそのお陰で、2種類のコーヒーをそれぞれ2種類の淹れ方で4通りにして飲み比べる、という単純かつ面白い発想に至りました。正直、結構楽しみました。
コーヒー好きもここまで来るとコーヒーオタクの域ですが、楽しいから止められません。これからも色んなコーヒーの楽しみ方を紹介していきたいです。
参考文献
オタクな文章を書く時は本棚のコーヒー本を結構参照します。
最新版 珈琲完全バイブル
コーヒーの淹れ方はもちろん、コーヒー生産国やコーヒー豆の焙煎など、コーヒーに関する広い範囲を扱っています。
コーヒー「こつ」の科学
ちょっと気になって調べてみたら、焙煎によって失われる成分は小糖類、アミノ酸、クロロゲン酸、などと書いてあります。「科学」と言っても、理系じゃない人も楽しく読める内容になっています。
コーヒーを正しく知るために
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