最近の私のInstagramの投稿を見た人は、なんかコーヒーと植物の写真を載せてるな、と思うでしょう。少し手間がかかるけど癒される、という点でコーヒーと植物には親和性があると思います。そんな私が見付けた雑誌「pen」2021年7月号の特集は「コーヒーとグリーン」です。
冒頭にある一文はこの特集を端的に表しています。
長引くコロナ禍で、多くの人が大切だと実感していることは、
暮らしの中に「愉しみ」を見つけることではないだろうか。
日々触れて、目にするもの、口にするもの、そして耳にするもの。
五感を潤して、心を癒やしてくれるコーヒーとグリーン。
この雑誌「pen」はいくつかの話題をカバーしていますが、ここでは特集「コーヒーとグリーン」について紹介していきます。
コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト
「pen」2021年7月号特集「コーヒーとグリーン」の概要
7月号の特集は「コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト」、第2特集は「デザイン・サウナでととのいたい!」ですが、ここでは「コーヒーとグリーン」に特化して紹介します。
滝藤賢一が語る、毎日の潤いとしてのコーヒーと植物
最近はいろんなメディアでお目にかかる俳優の滝藤賢一さんが、まず清州白河のコーヒー専門店「コーヒー マメヤ カケル」を訪れます。なんでも、焙煎度や抽出方法が違うコーヒーのフルコースを楽しめるとのこと。続いて千葉にある農園「グランカクタス」を訪れます。ここでは多肉植物やサボテンを多く取り揃えているそうです。
滝藤さんは植物に対する造詣が深いようです。何より、植物の鉢を持って嬉しそうな表情が印象的です。私が共感した言葉は後で紹介します。
クリエイターたちの、コーヒーと緑がある暮らし
緑に囲まれコーヒーを楽しむ、世界のクリエイターを紹介しています。
- 異素材ミックスのインテリアに映える、厳選の植物
ドイツ・ベルリン、ティム・ラベンダ[ファッションデザイナー、インテリア・コンサルタント] - 色×植物で、部屋に活力と鮮やかさを
アメリカ・ニューヨーク、ダン・ベロシ[フードクリエイター] - ブラジル風の緑と豆とで、“フィーカ”する
スウェーデン・ストックホルム、フレデリック・ピッコリ[国立芸術助成委員会ITマネージャー]、
ヨン・エリオット[「3nine」マーケティングマネージャー] - ドリッパーも器も吟味し、憩いの時を
台湾・台北、リック・ウー[「Rick」創設者] - 緑を結んだ家具や植物と、どう暮らすか
アメリカ・ポートランド、ラティーフ・ベッズイア[「Kat + Maouche」オーナー] - 白い部屋に、緑とアートが表情をプラス
フランス・シャンティイ、チボー・シャルパンティエ[フォトグラファー] - 大きな庭と海が心を癒やす、デュアルライフ
日本・真鶴、山本海人[サノバチーズ ブランドディレクター、バイミースタンド オーナー] - 家の中心に“庭”をつくり、光と風を入れる
日本・東京、今村水紀[「miCo.」代表、一級建築士] - コーヒーは、家族をつなぐ寛ぎの装置
日本・東京、土井地博[ビーアット代表取締役、ビームス コミュニケーションディレクター] - オリジナルのブレンドは、思い出の味
日本・東京、熊谷富士喜[カーニー代表]
私は仕事で、曲がりなりにもデザインを手掛けることが多々あります。クリエイティブな仕事をするためには心を整える環境が大事であることは、経験からも分かります。
コーヒーと過ごす、ある日の食卓
モダン・クラシック、スマート・ライフ、ノルディック・スタイルそれぞれに合わせたコーヒー器具の紹介に始まり、コーヒーを楽しむために大切なことや便利なことを色んな角度から紹介します。
- わざわざ淹れる一杯が、心の余裕や人間の幅を生む – 小関裕太
- プロに教わる、自宅でおいしく淹れるコツ
- 朝から晩まで!アレンジレシピでとことん楽しむ
- 東京都カフェで、世界を旅する
- 好みの味が見つかる、YES/NOチャート
- あの店の逸品を、自宅へお取り寄せ
コーヒーを淹れるコツやアレンジレシピは、例えば以前紹介した「極める 愉しむ 珈琲事典」のようなコーヒー専門の本の方が詳しいですが、そんな本を買わなくても、と考える人にはちょうどいい内容ですし、アレンジレシピには結構お洒落なものが紹介されています。
花や緑がある日常こそが、心を豊かにする – 前田有紀
ここから先は植物の話題でコーヒーの出番はなくなりますが、生活を豊かにするもの、という点で共感できます。冒頭で述べたように、コーヒーと植物には親和性がある、と私は考えています。
- 塊根植物の形や毒気のある花が、僕らを触発する – 内田朝陽×向井太一
- もはやアート!? 愛でる喜びに浸れる、名店の推す珍奇植物
- 自慢のグリーンはこだわりの鉢で、個性を巧みに演出
- “BONSAI”とは、代々受け継がれる究極のヴィンテージ
- プロが指南、家に”華”を添える飾り方の極意
この本のここが好き
私はコーヒーに関する本を何冊か持っていますが、この雑誌「pen」の特集の違うところは、コーヒーを飲むことありきではなく、「暮らしの中に愉しみを見つける」ことが主題になっていることです。その愉しみが、コーヒーと緑です。
私はサラリーマン生活が長く、職種が全く違うとはいえ、前出の俳優、滝藤賢一さんの言葉には共感できます。
休みの日になると一日中バルコニーにいて、植物の植替えをしている。とにかく無心になれる。大人になると、仕事や家庭でなにかと考えることが増えるでしょ? だからひとつのことに没頭する時間ってすごく大事だと思う。
私も休みの日には植物(ボトルアクアリウムの水草を含みます)の世話に時間を忘れることがあります。でもこれ、愉しいんです。
同じく俳優の小関裕太さんの言葉は、一見まったく違うことを言っているように見えますが、忙しい生活の中に愉しみを見つけるという本質は変わらないのではないでしょうか。
時間があるからなにかをやるのではなくて、時間がなくてもあえて手間をかけることによって、逆に自分の心に余裕ができることに気がつきました。
自分もかつて、同じ言葉を自分に言い聞かせていたことを思い出しました。つまり、忘れていたということですね。いいことを思い出させていただきました。これは、華やかなアナウンサーからフラワーアーティストに転身した前田有紀さんの体験にも通じるものがあると、私は感じました。
アナウンサーになって5年くらい経った頃かな、ふとしたきっかけで部屋に花を一輪飾ったんです。そうしたら急に空間が明るくなって、疲れて帰ってきても花に癒されたり元気をもらえたり…。花を飾るだけで暮らしがポジティブに回り始めたんです。
それがコーヒーであっても、植物であっても、時に多忙な生活の中で癒やしになる。そして、それは自分で作れる。そのためには、頑張らなくてもいいですよね。

私にとってのコーヒーは単なる嗜好品ではなく、コーヒーを淹れること自体が趣味になっています。煎り方や淹れ方でコーヒーの味わいがどう変わるか試すのが好きです。なんか、頑張ってますね。でも、このブログの副題にあるように、本当は、ただコーヒーが好きなだけなんです。
コーヒーが好き、と言うとよく「こだわりがあるんだぁ」と言われますが、そうじゃなくて、ただコーヒーが好きなだけなんです。だから、建築設計事務所を主宰する今村水紀さんのスタイルは好きです。
コーヒーとの付き合い方も、緑との付き合い方に似ている。毎日水代わりに飲み、生活に欠かせないものだが、豆や淹れ方に強いこだわりはない。
それでもコーヒーを煎茶用の汲み出しに注ぎ和菓子を添えるというスタイルを保っているそうです。これは私の個人的見解ですが、自分が好きなスタイルを持つことと、こだわりがあることは、違います。後者は時に「自己満足」のためである一方、前者は「愉しみ」です。あくまで、私の個人的見解ですが。

生活の中で植物を愉しむため、ボタニカルショップ「ファーヴァ」のオーナー、渡辺礼人さんは「家に“華”を添える飾り方の極意」を説いています。
僕がお薦めするのは、生活の導線に花を置くことですね。それだけで生活に彩りが出ます。初心者がやりがちなのは、花束を買ってきて、そのまま花瓶に活けること。花を飾る行為に特別感が出てしまうと、1回限りで長続きしません。
行為が目的になってしまうことって、ありますよね。家の中に花を置く具体的なポイントも写真と共に説明していますので、そこはぜひこの雑誌「pen」を手に取って確かめてください。
このブログの主題「コーヒー」からは逸れますが、最後に私が共感した植物に対する態度、アメリカ・ポートランドでヴィンテージラグを扱う店の経営者、ラティーフ・ベッズイアさんの言葉を引用します。
私たちには植物を”買う”という概念はなく、生命を引き継ぐ手伝いをしている感覚
私は植物を育てながら、このことを感じています。この気付きを含め、生活に植物があることには愉しみがあります。
この本のここが惜しい
東京中心なんです。紹介されているお店はほとんど東京かその近辺にあります。仕方ないですね。もちろんこれは、首都圏に住んでいる人にとっては「この本のここが好き」になるわけですし。ちなみに私は神奈川出身で、実家にいた頃に「地方」出身者が言っていた不平の意味が、名古屋に住んでいる今になって分かりました。
でも見方を変えれば、今度東京方面に行く機会があればこの本で紹介されたお店に行ってみたい、という楽しみにもなります。
コーヒーとグリーン、ときどきポッドキャスト
最後に
この雑誌、お洒落ですよね。昨年あたりから「不要不急」という言葉がよく使われるようになり、時が経つにつれて「不要」の意味が考えられるようになりました。お洒落で豊かな生活を送ることが「急」でないことに異議は少ないと思いますが、「要」か「不要」かという点には議論の余地があります。
不要の外出を慎むことが強く求められる今だからこそ、「コーヒーと過ごす、ある日の食卓」で紹介されているような豊かな暮らし、今時の言葉を借りれば「おうち時間」を見直してもよいのではないでしょうか。この本で紹介されているサレオツな生活は決して別世界の話ではなく、心を豊かにする生活は心掛け次第で誰にでもできるものだと私は思います。
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