BASE COFFEEさんで買ってきたコーヒー豆をおうちで淹れてみました。コーヒー3種飲み比べでは選べなかった、エチオピアの中煎りです。一宮の焙煎所、BASE COFFEE Classicで焙煎された豆です。

中煎りのエチオピアを買ってきた

前回紹介したBASE COFFEEセントラルパーク店さんではスペシャルティコーヒー3種飲み比べを楽しみましたが、そこでは選べなかった豆があります。それがこのエチオピア。飲み比べに加えるにはいささか高価な、COE、Cup of Excellenceを受賞したコーヒー豆です。

BASE COFFEEのエチオピア、パッケージとその豆
「WINNER」のシールはCOEを受賞したロットのコーヒー豆にのみ貼られます。ラベルには焙煎日も印字されています。基本ですね。

COEのエチオピアと言えば、以前猿田彦珈琲 名古屋則武新町店さんでもいただき、買ってきた豆をおうちで淹れました。その時の様子は「浅煎りのエチオピアを淹れてみた」に書いていますので、興味があったら読んでみてください。

エチオピアの深煎りと浅煎り
右が猿田彦珈琲さんで買ってきた浅煎りのエチオピア、左はR ART OF COFFEE 松坂屋店さんで買ってきた深煎りのエチオピア。焙煎度による豆の見た目の違いを示すために並べてみました。

浅煎りのエチオピアを淹れてみた」で説明しましたように、浅煎り豆は焙煎が進み一度目の膨張 (1ハゼ) が起きた後に煎り止めたもので、表面にはシワがあります。深煎りは二度目の膨張 (2ハゼ) が起こってからさらに焙煎したもので、膨張により豆は膨らみ、シワも伸びます。

今回買ってきた豆は、このどちらとも違います。

BASE COFFEEで買ってきた中煎りのエチオピア
これが今回BASE COFFEEさんで買ってきた中煎り。パッケージを開けると超絶に良い香りがフワーッと漂ってくる豆は、見た目もキレイですね。同じ「エチオピア」でも煎り加減でこれだけ見た目が変わり、もちろん味わいも変わります。

二度目の膨張、2ハゼが始まると豆が膨らんでシワが伸びます。それ以上は焙煎を進めずに煎り止めた状態は、酸味とコクのバランスが良いと言われています。これが今回の豆です。

Cup of Excellenceについて、以前と同じ文面を引用します。

カップ・オブ・エクセレンス (COE) とは、各生産国で行われるコーヒー品評会のこと。数あるコーヒー品評会のなかでも、最も信頼のあるコンペティションといわれています。

最新版 珈琲完全バイブル「カップ・オブ・エクセレンス (COE)」(丸山健太郎監修、ナツメ社)

このCOEを受賞したのが今回のコーヒー豆です。「最新版 珈琲完全バイブル」は、さらに続けます。

ほかの豆より高額だが、愛好家なら一度は味わってみたいコーヒーだ。

最新版 珈琲完全バイブル「カップ・オブ・エクセレンス (COE)」(丸山健太郎監修、ナツメ社)

はーい、私です。珈琲馬鹿ですね。

エチオピアの浅煎りを淹れた時はメッシュフィルターとセラミックフィルターという、2種類のフィルターで淹れ比べました。今回はペーパーフィルターを使いますが、それをセットするドリッパーを変えてみます。カリタの昔ながらの「3つ穴」ドリッパーと、最近主流のカリタウェーブ、新旧カリタ淹れ比べです。

お伴には「コーヒーのための羊羹」を選びました。

コーヒーのための羊羹、YOKAN FOR COFFEE
パッケージに付いた「シミ」は実際にカップの底についたコーヒーを紙にスタンプしたものとのこと。

これは京都の都松庵さんがコーヒーとのペアリングのために、コーヒーとの相性を追及して作った羊羹です。余談ですが、京都に出張に行った際に「自分土産」として買ってきました。

銅製3つ穴ドリッパーで淹れてみた

これは以前「やっぱりKalitaが好き」で紹介したドリッパーです。私がコーヒーを自分で淹れて飲むようになった二十世紀 (…だから、90年代です) にカリタと言えばこのタイプでした。台形の底に小さな3つの穴が並んでいます。

カリタの銅製3つ穴ドリッパー
女性はお洒落なメイク用品でメイクするとテンションが上がると聞いたことがありますが、私はカッコいいドリッパーでコーヒーを淹れるとテンションが上がります。(余談ですが、今は「やっぱりKalitaが好き」を書いた時よりもいいいカメラと撮影道具を使っています。)

当時カリタと並んでメジャーだったメリタのドリッパーは同じ台形ですが底には小さな穴が1つあり、その違いを強調して「3つ穴」と呼ばれていたと記憶しています。

カリタの3つ穴ドリッパーの底にある3つの穴
ドリッパーには陶器製、樹脂製、金属製などありますが、樹脂製と金属製は穴の大きさを一定にし易い利点があると言われています。陶器製やガラス製はその保温性はもちろん、「デザイン性」も見逃せません。

今ではこの3つ穴ドリッパーをカフェで見ることは滅多にありませんが、京都のmurmur coffee kyotoさんはその1つです。Japan Coffee Fastivalでお会いしたHealing Cafe Metheonさんも3つ穴ユーザーで、カリタ談義をしたことはいい思い出です。

カリタの3つ穴ドリッパーでコーヒーを淹れるHealing Cafe Metheonさん
Healing Cafe Metheonさんとは神戸、高野山と2度のJapan Coffee Fastivalで会いましたが、どちらでも唯一のカリタ3つ穴ユーザーでした。

私も以前は陶器製の3つ穴を使っていましたが、今はこの銅製を使っています。このドリッパーで、焙煎されてから1週間ほどのCOEエチオピアを淹れてみました。

カリタの銅製3つ穴ドリッパーで中煎りのエチオピアを淹れる
高価なCOEのコーヒーを淹れる時はちょっと緊張しますが、それも含めてコーヒーの楽しみ方の1つです。

そのお味は、まず香りがとても上品。口に含むと、口当たりが極めてまろやか。このまろやかな飲み物は何ですか?といった感じ。(それは、コーヒーという飲み物です。)

苦味が前面に出ることなく、これまた上品な酸味と、ほのかな甘みも感じます。徐々に顔を出し始めるフルーティーさは、甘い柑橘系といった感じです。

耐熱ガラス製カリタウェーブで淹れてみた

今、カリタのドリッパーと言えばこの「カリタウェーブ」でしょう。底は平らで、小さな3つの穴が三角形を描くように並んでいます。

カリタウェーブの底にある3つの穴
穴の数は同じ3つですが、「3つ穴」の称号は先輩に譲るしかないですね。

このブログで紹介したカフェでは横浜のdrop coffeeさんや、名古屋のcafe Cerejaさんはステンレス製のカリタウェーブを、長久手のSIENA COFFEE FACTORY (現IMOM COFFEE ROASTERS) さんは銅製のものを使っています。

耐熱ガラス製カリタウェーブ
私が使うカリタウェーブは耐熱ガラス製です。ステンレス製より保温性は高いですが、割れやすいということで店舗では敬遠されがちです。プラスチック製のフランジは取り外すことができ、色違いもあります。

同じくJapan Coffee Festivalで出会ったfusion with coffeeさんはステンレス製のカリタウェーブを使っていました。

ステンレス製のカリタウェーブでコーヒーを淹れるfusion with coffee
fusion with coffeeさんが使うドリッパーはステンレス製、ドリップケトルは銅製です。

ドリッパー自体は平らですが、それに入れるペーパーフィルターが波打っていて、これが「ウェーブ」の由来です。抽出されたコーヒーが落ちると「波」の間にコーヒー粉が残るのが特徴です。TRUNK COFFEE STANDさんや小猿珈琲さんが使っているORIGAMIドリッパー用のフィルターも波打っていて、同じように粉が波の間に残ります。

カリタウェーブでコーヒーを淹れる
フィルターから湯が落ちていくと、ヒダの間にコーヒー粉が残り「壁」になります。この壁の厚さはコーヒー粉の量によって変わります。これは1~2杯用のドリッパーで1杯分淹れたところ。

さて、そのお味は、スッキリした優しい苦味とフルーティーさのバランスが良いですね。全体的に上品にまとまった、ホッとする味です。銅製3つ穴とはちょっと違う味わいを楽しみました。

「コーヒーのための羊羹」との相性も、いいですね。

コーヒーのための羊羹
粒々はドライイチジクの種。プチプチした食感を楽しめて、一般的な、お茶が欲しくなる羊羹とは違う味わいです。

この羊羹は甘さ控えめで、ほのかにドライフルーツの香りがします。フルーティーなコーヒーと張り合わず、うまく調和します。

エチオピアのフルーティーな香りの良さも最後まで続きました。

まとめ:形状と、素材と

以前の「浅煎りのエチオピアを淹れてみた」では違う種類のフィルターを使い、ガラッと変わる味わいを楽しみました。今回の淹れ比べでは味わいの違いは微妙でしたが、この違いをドリッパーの形状の違いによるものと考えるのは早計ですね。素材の違いも大きいです。

銅は熱伝導率が良いことで知られていて、それを活かした調理道具も数多くあります。カヌレを焼く「カヌレ型」もその一つですね。

ハレとケ珈琲の「イエローレモン」
こちらは以前紹介したハレとケ珈琲さんのカヌレ。このカヌレはフランス産の銅製カヌレ型で焼いているとのこと。

ただしそれは熱源を利用して調理する場合のこと。銅製の調理器具は熱源からの熱を効率よく食品に伝えます。が、熱源を伴わないハンドドリップでは、注いだお湯の熱はむしろ熱伝導率が高い銅を介して外に伝わっていきます。

実際、淹れ終わった後の銅製ドリッパーはフランジ部分まで熱くなっています。これは、熱を発生するパソコンのCPUに取り付けられたヒートシンクと同じ原理で、注がれたお湯の熱を外に逃がしていくことを意味します。

では、なぜ銅製のドリッパーで淹れたコーヒーの味はまろやかなのでしょう。

SIENA COFFEE FACTORYに並べられた各種コーヒードリッパー
SIENA COFFEE FACTORYさん(現IMOM COFFEE ROASTERS)に並んだガラス製、ステンレス製、銅製の各種ドリッパー。この後、中煎りのケニヤを銅製のカリタウェーブで淹れていただきました。

それは、抽出中の熱を上手くコントロールしてくれるから、だと私は推察しています。

コーヒーを抽出する時のお湯の温度が変われば、抽出される成分も変わり、それは味わいの違いになって現れます。例えば、以前紹介したSKOG KAFFEさんではスペシャルティコーヒーを通常より低めの温度のお湯でハンドドリップして、優しい味わいのコーヒーに仕上げています。

SKOG KAFFEさんでハンドドリップコーヒーをいただきました
SKOG KAFFEさんでは耐熱ガラス製のHARIO V60ドリッパーを使い、少し温度が低めのお湯でハンドドリップしています。

ドリッパーの形状、そして材質も違うものを使って淹れ分けて味わいの違いを楽しむ。コーヒーは奥深く、そして楽しいですね。

Japan Coffee Festivalに出店したfusion with coffeeさんとHealing Cafe Metheonさん
Japan Coffee Festivalの会場で談笑するカリタウェーブ派のfusion with coffeeさんと、カリタ3つ穴派のHealing Cafe Metheonさん。好みのドリッパーの垣根を越えてコーヒー談義が止まらなかったことは、いい思い出です。

これからも、個性的なコーヒー豆を色んなドリッパーで淹れて楽しみながら、このブログでもその様子を紹介していきます。

BASE COFFEE セントラルパークの基本情報

愛知県名古屋市中区錦3-15-13先 セントラルパーク内

平日・土 11:00~21:30
日・祝 11:00~20:30
最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください

shop.basecoffee.jp

(BASE COFFEE)

centralpark.co.jp/shop/base-coffee

(セントラルパーク)

BASE COFFEEセントラルパーク店

参考文献

いつもお世話になっているこれらの本を今回も参照しました。

最新版 珈琲完全バイブル

コーヒーの淹れ方やコーヒー豆の説明はもちろん、上述のCOEについては見開き1ページ、フードペアリングにもかなりのページを割いています。

監修者

丸山健太郎

発行者

田村正隆

発行所

株式会社ナツメ社

発行日

初版発行:2021年6月2日

定価

1,760円 (税込み、2023年3月時点)

コーヒー「こつ」の科学

こつの「科学」と言っても、理系の人向けに書かれた本ではありません。理系科目に苦手な人も無理なく読める内容です。コーヒー豆を焙煎することにより起こる科学的変化や、コーヒー抽出の仕組みについても説明しています。

コーヒー「こつ」の科学

コーヒーを正しく知るために

著者

石脇智広

発行者

石丸兼一

発行所

株式会社柴田書店

発行日

初版発行:2008年9月10日
10刷発行:2019年7月10日

定価

1,980円 (税込、2023年3月時点)

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