BAUM HAUS EATさんは閉店しました。今までありがとうございました。

実はオフィス街でもある栄で、オフィスビルの1階にあるイートインスペースに行ってきました。BAUM HAUS EATさん。焼き立てのふっくらバウムクーヘンが食べられます。

今どきのカフェのあり方についても考えさせられる場所です。

オフィス街 栄に行ってきた

冒頭に「実は」と書いたように、名古屋の栄と言えば繁華街というイメージがありますよね。週末に訪れるだけでは分からないオフィス街としての一面も実はあります。

WORK(働く)とEAT(食べる)を掛け合わせた複合施設BAUM HAUSは、名古屋エリアでの活動拠点として最適な、働きながら「新しい」を発見できる地域、栄にあります。

出典: BAUM HAUS「CONCEPT」(https://baumhausjapan.com/)

その1階にあるイートインスペースがBAUM HAUS EATです。

BAUM HAUS EATが入るオフィスビル
矢場町駅から徒歩数分、ナディアパークの向かいにBAUM HAUSはあります。

ビルの2階にはコワーキングスペースなどを備えたBAUM HAUS WORKがあります。そこで働く人達や、その場所を訪れた誰でもが利用できるイートインスペースが、1階で路面に面したBAUM HAUS EATです。

BAUM HAUS EATのイートインスペース
後述するように、BAUM HAUS EATには3つのショップがあります。ここは焼きたてバウムクーヘンを提供するTHEO’S CAFE前のイートインスペース。左側に写っているのはタッチパネル式の券売機。

オーダーの仕方も独特です。タッチパネル式のキャッシュレス券売機で注文して、レシートと番号札を取り出したら、好きな席に着きます。ここまで店員さんとの会話は一切ありません。番号を呼ばれたら受け取り口まで取りに行きます。

焼きたてのバウムクーヘンを注文してみた

この日のお目当ては、3つあるショップのうちの1つ、THEO’S CAFEの焼きたてバウムクーヘン。焼きたて、と言っても、以前紹介したココトモファーム 犬山城三之丸店さんのように職人さんが手造りするわけではありません。自動化されています。その様子はガラス越しに見ることができます。

BAUM HAUS EATで働くTHEO'S CAFEのロボット
AIバウムクーヘン職人「THEO」が焼き上げたバウムクーヘンを受け取るロボットアーム。

注文したのはもちろん、名物の焼き立てバウムクーヘンとドリンクのセット。前述のように券売機で注文する際、添える生クリームの量も通常か、増し増しか選べます。自由に席に着き、番号が呼ばれるのを待ちます。

番号が呼ばれたら3店舗で共通の受け取り口まで取りにいきます。ここでも店員さんとの会話はありません。雰囲気は小洒落たカフェですが、そのスタイルはフードコートそのものです。平日に仕事の合間に利用する人にはちょうどいいかもしれませんね。

でも普通のフードコートと違うのは、バウムクーヘンのクオリティ。

BAUM HAUS内、THEO'S CAFEの焼きたて」バウムクーヘン
そのクオリティだけではなく、切り方も独特です。筒状に焼きあがったバウムクーヘンをザクっと切り削いでいます。

スイーツ好きの中でも、焼きたてバウムクーヘンの香りをご存じの方はどれだけいるでしょうか。ここではそれを感じられます。

味はシンプルで、それゆえに素材の良さを感じられます。何よりも他のバウムクーヘンと違うのは、その食感。ふわふわです。一般的なしっとりしたバウムクーヘンとシフォンケーキの間、と言ったら通じますかね。

BAUM HAUSの焼きたてバウムクーヘン
バウムクーヘンのフワフワ感を写真で見せるのは、難しいですね。

平日の仕事中、昼休みにここを訪れる人の多くはお食事を注文するのだろうと想像していますが、きっとこの焼きたてバウムクーヘンを食す人もいるのでしょう。羨ましいです。

ところで、このBAUM HAUSという名称からは、20世紀の初頭にドイツに設立されたデザイン集団、BAUHAUSを連想します。ロゴの雰囲気も似ているので、洒落たオマージュでしょうか?

ベーカリーとデリも

前述のように、このBAUM HAUS EATはフードコートスタイルのイートインスペースです。焼きたてバウムクーヘンのTHEO’S CAFEの他にはベーカリーとデリがあります。キャッシュレスの券売機は3店で共有していて、まず店舗を選ぶことになります。

この日はベーカリーでパンとスープのセットをいただきました。

BAUM HAUS EATのイートインスペース
店舗は手前からベーカリーのDONQ ÉDITER、デリのDeli BAUM HAUS、そしてカフェのTHEO’S CAFE。席は好きに選べます。

スイーツ好きでパン好きでもある私は、ベーカリーで見るからに美味しそうなパンを眺めながら、トングを手に、どれにしようかな、と迷うのも楽しみの一つです。が、ここではそれができません。店舗のショーケースで目星を付けてから、文字情報のみが表示される券売機でパンを選ぶことになります。

ちょっと淋しいですが、これも今求められる飲食店の姿の一つかもしれません。

BAUM HAUS EATのベーカリー、DONQ ÉDITER
ベーカリー、DONQ ÉDITER。店員との接触がないスペースなので、店舗は無人です。

無人の店舗に、完全キャッシュレス決済。このシステムを知らずに入店したら、少し戸惑うかもしれませんね。ですが、これもカフェの多様性の一つでしょう。

BAUM HAUS EATのベーカリー、DONQ ÉDITER
繁華街でもありオフィス街でもある栄の通りを眺めながらパンとスープのセットをいただきました。

最後に、カフェの多様性について考察してみます。

基本情報

BAUM HAUS EATさんは閉店しました。BAUM HAUS WORKは引き続きコワーキングスペースとして営業しています。

愛知県名古屋市中区栄3-17-25

BAUM HAUS EAT

カフェの多様性

以前紹介したココトモファーム 犬山城三之丸店さんは、入店すると、まず気さくなスタッフさんが笑顔で迎え入れていただきます。そして、店内ではガラス張りの工房で職人さんがバウムクーヘンを焼く姿を見ることができました。

対照的にこちらのBAUM HAUS EATでは前述のように店員さんとの会話も接触も一切なし。「いらっしゃいませ」の一言もない徹底ぶりです。

お店のウェブサイトによると、開店は2021年3月。コロナ禍の最中です。人との接触が「悪」のように扱われた時代に、健康にも気遣った食を届ける新しいスタイルであったことが伺えます。

BAUM HAUS EATのテーブル席
接客を排除した店舗ですが、日差しが差し込む明るい店内はお洒落で清潔的。テーブルの上には鉢植えも置かれています。が、よく見るとこれらの植物はアーティフィシャルであることが分かります。

私は、本家ブログ「HiroのCafeめぐり」で時々書くように、コーヒー専門店でスタッフさんとコーヒー談義をするのが好きです。コーヒー好き同士が話し始めると止まらなくなることもあります。スイーツの話をするのも好きです。

一方で、今は「コミュ障」という言葉もあるように、人とのコミュニケーションが苦手、またはそもそも不要と考える人もいます。そんな人でも洒落たカフェでスイーツやドリンクを楽しみたい、あるいは働きたいのであれば、コロナ禍ではなくてもこのようなお店は有難いかもしれません。人もいろいろ、カフェもいろいろ。

もう一つ考えてみたいのは、自動化。ここでは前述のように「AIバウムクーヘン職人、THEO」が働いています。

BAUM HAUS EATで使用されるバウムクーヘン専用AIオーブン、THEO
広義のロボットには生産現場で使われる産業用ロボットも含まれるので、人型、つまりヒューマノイドである必要はありません。顔(…正しくは、目)があるのは洒落心でしょうか。

実は理系出身の私はその技術に興味がありますし、その完成に至るまでの苦労も察します。オフィスビルの1階で焼きたてバウムクーヘンが食べられるのは、間違いなくTHEOのお陰でしょう。今は「働き手クライシス」と言われるように、労働力不足も深刻な問題です。特に飲食店では、スタッフ不足によるサービスの制限を伝える張り紙を見ることも度々あります。その働き手不足の解消に一役買っていることも確かです。

BAUM HAUS EATで作られるバウムクーヘン
THEOが焼き、コンベアで運ばれる焼きたてホヤホヤのバウムクーヘン

でも、人の手で作られるモノには「あったかいんだからぁ」ってこともあるんですよねぇ。

結局のところ、カフェもそれぞれです。でも個人的には、次は人が接客するお店に行きたいかな。

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