東海地方のマチが月替わりで金山駅コンコースに出店するIKO→MaI(イコマイ)で見つけたのは、本格的なコーヒー豆専門店でした。岡崎から出店のARCHE COFFEEさん。珍しい豆で作る鮮度が良いブレンドはもちろん、岡崎の地元愛にもほっこりします。
金山駅のコンコースで
いきなり私事ですが、今勤めている会社は金山駅のすぐ近くで(普段はサラリーマンしてます)金山駅のコンコースは日常的に通ります。そこで楽しみにしているのがIKO→MaI。以前新城市が出店した時はShalom Sweets & Giftさんの米粉キャラメル シフォンケーキを姉妹ブログ「SweetsオトコのCafeめぐり」で紹介し、ペアリングには同時に出店していたPSALM23さんのグァテマラの深煎りを紹介しました。
12月の出店は「地域店舗ファンづくり推進事業実施中!」の岡崎市。週替わりで違う店舗が出店し、3週目に登場したのがARCHE COFFEEさんでした。「コーヒー試飲できます」とあります。

まずは平日の昼休みにちょっと立ち寄り、試飲させていただいたのが2種類のクリスマスブレンド。中煎りと深煎りです。執筆に時間がかかってしまいましたが、訪れたのはクリスマス前でした。
試飲用に淹れてから時間が経ってしまいました、とのことですが、どちらも特徴的な香りがちゃんと感じられます。棚に並んだパッケージに記載された焙煎日を見ると、ほんの数日前。鮮度が良い豆は冷めても香りを失わないんですよね。

この日はこの2種類を少量ずつ買って帰り、後日同じ金山駅コンコースの物産展で買ったカヌレを合わせておうちカフェしました。実はその時点で、試飲した2種類の他にも気になったブレンドがありましたので、週末の最終日に再訪しちゃいました。

これらの豆を自宅で淹れた様子は次章以降で詳しく紹介します。
基本情報:ARCHE COFFEE

基本情報:IKO→MaI イコマイ
愛知県名古屋市熱田区金山町1-1-18
金山総合駅駅構内西改札側
営業時間は出店情報でご確認ください
(岡崎市の出店情報)
2024年12月1日~12月29日
ARCHE COFFEEは12月15日~21日

クリスマスダークブレンド + 堀養蜂園のカヌレ
まずいただいたのはCHRISTMAS DARK BLEND。ベースはCostarica El Diamante Honey Anaerobic。以前紹介した川名のharu.さんでもいただいたコスタリカのハニープロセスは、コーヒーチェリー(コーヒー豆の元の果実)の果肉を取り除き、種子の周りのヌメヌメ(「ミューシレージ」といいます)がついた状態で精製したもので、独特のフルーティーさと甘みが特徴です。

アナエロビックはこのブログでは度々登場しますが、コーヒーチェリーの果肉またはミューシレージが付いた状態で嫌気性菌で発酵させたもので、スパイシーさがあったり、良い意味でクセがあるのが特徴です。詳しくは名駅のGLITCH COFFEEさんの紹介で説明していますので、気になる方は見てみてください。
しかもこのハニー・アナエロビックは、種子に付いているミューシレージに加えて、他の種子から取り除いたミューシレージを足した、つまり「ミューシレージ増しまし」の状態で発酵させたとのこと。試飲した時に感じた独特の香りの正体はこれでした。

合わせたのは、同じく金山駅のコンコースで行われていた物産展で買った、岐阜の堀養蜂店さんのカヌレです。すっかりファンになってしまって、堀養蜂店さんが出店するたびに買っています。
さて、そのお味は。まず最初の一口で、期待通りのまろやかで上品な苦み、の後にほんのり甘味のある後味が続く。深煎りなのに、ワイニーナチュラルみたいな甘い香りがします。
IKO→MaIで試飲した時は淹れてから少し経ったものでしたが、それでも苦味より香りが印象的でした。淹れたては、ダークチョコレートのようなしっかりした風味の中に、その香りの深さが分かる。
話は前後しますが、このダークブレンドは深煎りの良さを上手く引き出す(と長年個人的に思っている)カリタの3つ穴で淹れました。

合わせたカヌレは、外はカーリッカリッとして、中はしっとり。食感のギャップを楽しんでいると口の中に広がる、はちみつ屋さん(…養蜂店です)のカヌレならではの上品な甘さ。ほろ苦さとのアクセントも良き。
その甘味の記憶が舌に残るうちにダークブレンドを口に含むと、深煎りの苦味に隠れていた自然な甘味が顔を出す。期待通りの相性の良さです。

ハニープロセスは浅煎りにする印象があるけど、敢えて深煎りにすることで出せる味。もちろん、冷めても嫌な味はまったくなく、最後まで美味しくいただきました。
基本情報:堀養蜂店 蜜や

クリスマスブレンド + 北海道クリームのフルーツロール
続いては「ダーク」が付かない中煎りのクリスマスブレンド。こちらもIKO→MaIで試飲させていただいたものです。ベースは同じコスタリカのミューシレージ増しましのハニー・アナエロビックですが、焙煎度を変えています。
先ほどのダークブレンドがプレミックスだったのに対し、こちらはアフターミックスです。

プレミックスは生豆の状態でブレンドしてから焙煎しますが、アフターミックスはそれぞれの豆を焙煎してからブレンドします。典型例は4年前のこの時期に久屋大通公園のHARIO CAFEさんで飲んだクリスマスブレンド。世にも珍しいゲイシャの浅煎りと深煎りのブレンドでした。
焙煎度は同じ中煎りでも、それぞれの豆に合わせて焙煎時の温度の上げ方を変えるなど、豆の個性を活かせるのもアフターミックスの利点です。

この豆を挽くと、もうその時点でナチュラルの浅煎りのような爽やかな香りがします。中煎りなんですけどね。
合わせたのは、金山駅のコンコースを北口に抜けた先にあるLOVE2 Sweetsに出店していた農ブランドさんのクリスマスロールケーキ。LOVE2 Sweetsは東海地方にとどまらず全国からいろんなスイーツショップが週替わりで出店します。
さて、そのお味は。口に含んでも、中煎りよりやや浅めの風味に、不思議な後味。その後味にはほのかな甘味もあり、どことなくスパイシーな香りの余韻が残る。試飲した時に「だからか!」と言ったその香りの正体は、お察しの通りすでに正体を明かしているコスタリカのハニー・アナエロビックです。
やはり話は前後しますが、使ったドリッパーは耐熱ガラス製のカリタウェーブ。平らな底に開いた孔の数は3つですが、「カリタの3つ穴」の称号は先輩の台形3つ穴ドリッパーに譲っています。

合わせたロールケーキは、北海道クリームのフルーツロール。何よりもまず、生クリームが濃厚! ふっくらしっとりのスポンジケーキも味がしっかりしていて、お互い主張のある味が合わさってロールケーキとして一つの味になり、そこにフルーツの、これまた違う個性が加わる。
それでも全体としてくどくない、むしろ軽い味わいだから、さわやかなクリスマスブレンドと合う。ほっこりするペアリングになりました。

クリスマスブレンドに、フルーツロール。賑やかなクリパ(死語?)よりも、まさにサイレントナイトに味わいたい組み合わせでした。
鮮度がいい豆で淹れたブレンドの、ずっと続く個性は苦味じゃない、独特のスパイシーさ。冷めても最後まで美味しくいただきました。
基本情報:農ブランド
愛知県名古屋市天白区植田西3-901
10:00~18:00
最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください

イエヤスブレンド + クランベリーとクリームチーズのライ
最後に紹介するのは、さすが岡崎のコーヒー屋さん、IEYASU BLENDです。大河ドラマ「どうする家康」の影響で、家康の生誕地岡崎が注目されたのはまだ記憶に新しいです。

ベースは2種のクリスマスブレンドと同じコスタリカ産ですが、こちらの精製方法はウォッシュドです。「水洗式」とも呼ばれるウォッシュドはコーヒーチェリーの果肉も、ハニープロセスの特徴でもあるミューシレージも水洗いして取り除いてから天日乾燥させます。
コーヒー生産地は標高が高い地域に多いのですが、ウォッシュドは多量の水を必要とするため持続可能な農業の課題になることもあります。一方、スッキリした味を出しやすいなどの利点ももちろんあります。

合わせたのは、LOVE2 Sweetsから先に進み、アスナル金山の中でステージの前にあるbaguette rabbitさんのクランベリーとクリームチーズのライ。バゲラビさん名物のハード系のパン、それもライ麦パンは家康公の激しさのイメージに合うかな、とか、対照的にクリームチーズは冷静さを表さないかな、とか想像しながら選びました。

そのお味は。イメージ通り、力強い苦味。だけど、くどくない。むしろ豆の色の濃さから想像するよりもスッキリした苦みです。
ベースは前述のようにコスタリカのウォッシュドで、アクセントに使っているのは、日本ではまだ流通が少ない中国雲南省産の豆です。雲南省の豆には何とも言えない独特な、良い意味でクセのある風味が特徴です。ここではアクセントとして使っているのでそこまで主張しないですが、その風味があってこそブレンドとして完成する味です。

さて、バゲラビのクランベリーとクリームチーズのライ、少しだけ温めたらモッチリ食感。ライ麦パンだけど、思いの外クセは強くない。中のクリームチーズもクセがないけど、さわやかな酸味の中にチーズらしいまったりと濃厚な香りがある。両者が口の中で合わさると絶妙な風味に、クランベリーの酸味と甘みのアクセントが加わる。
これが、クセが強過ぎない深煎りと合います。

家康公をイメージしたブレンドには敢えてスイーツじゃなくパンを合わせましたが、チョコやナッツが入ったクッキーとか、焼き菓子にも合いそう。今度試してみよう。
かの家康公も、自分の死後何百年も経ってから領民の子孫が南蛮渡来の飲み物に自分のイメージを作るなんて、想像しなかったでしょうね。

今回は3種のブレンドをいただきましたが、岡崎の店舗では雲南のシングルオリジンもあるそうです。いつか伺いたいです。
基本情報:baguette rabbit アスナル金山店
愛知県名古屋市中区金山1-17-1 アスナル金山内
9:00〜21:00
最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください
(baguette rabbit)
(オールハーツ・カンパニー)
(アスナル金山)

合わせて見たい
Sweets写真館から
姉妹ブログ「SweetsオトコのCafeめぐり」でひたすらスイーツの写真を紹介する「Sweets写真館」でも今回合わせたスイーツを紹介しています。堀養蜂店さんのカヌレはその初期に載せていました。ファンですから。
ここでは農ブランドさんの北海道クリームのフルーツロールを合わせましたが、実は他にも2種類のロールケーキをいただきました。
クリスマスロールケーキ
クリスマスを控えた週に金山駅の週替りスイーツショップ、LOVE2 Sweetsさんで見つけたロールケーキ。レトロな雰囲気のパッケージは特別仕様でしょうか。数ある中から、気になった3種類を選びました。
パンの写真館から
こちらもう一つの姉妹ブログBakeryめぐりで、ただひたすらにパンの写真を載せる「パンの写真館」には他の写真も載せています。
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