オリジナル作品の展示・販売を行うイベント、クリエイターズマーケットで個性的な珈琲豆屋さんを見つけました。チムニー珈琲焙煎所さん。コーヒー豆のクオリティはもちろん、デザイン性にも注目です。
クリエイターズマーケットに行ってきた
今回で49回目となるクリエイターズマーケットは東海地方で最大級のものづくりイベントで、愛知はもちろん、日本全国から様々なジャンルのクリエイターさん達が集まります。約2000もの出展者の中から、事前に検索して気になっていたのは以前「世界フェアトレード・デー・なごや」でお会いしていた焚人旅人さん(「タキビトタビビト」と読みます)と、こちらのチムニー珈琲焙煎所さん。
焚人旅人さんで購入したカヌレとコーヒー豆は姉妹ブログ「SweetsオトコのCafeめぐり」で紹介していますので、興味のある方は見てみてください。
その焚人旅人さんのブースの次に向かったのがチムニー珈琲焙煎所さんです。商品もブースのデザインも個性的なクリエイターが多い会場で、チムニー珈琲焙煎所さんのブースはお洒落で、デザイナーの心をくすぐるものがありました。

クリエイターズマーケットのいいところは、作り手さんと直接お話ができること。どのブースでも作品に対する熱い思いを語っていただけます。チムニー珈琲焙煎所さんでもいろいろ聞かせていただきました。
まず気になったのは、ベトナム未来農園 ワインのロブスタ

コーヒーノキはアラビカ種とロブスタ種(正しくは「品種」)に大別されますが、通常カフェなどでレギュラーコーヒーとして淹れられるのはアラビカ種。ベトナムで多く栽培されているロブスタは主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料として使われます。が、そのロブスタにワイン・ベリーのような芳醇さ?コーヒー好きなら気になるところでしょう。
この「未来農園」では、木の上で完熟したコーヒーチェリーだけを手摘みで収穫するとのことです。そのため果肉の糖度が高くなり、発酵プロセスでも特別な配慮が必要なのですが、独特の香りに仕上がるとのこと。期待してしまいます。
お次は、インドネシア マンデリン リントン。深めの中深煎りです。

マンデリンは深煎りにすることが多いのですが、それを敢えて深めの中深煎りにしています。微妙な違いですが、焙煎士さんだからできることですね。
余談ですが、先述の焚人旅人さんで買ったのは東ティモール。東ティモールと言えばかつてインドネシアから独立した国で、コーヒーも似通っています。こちらはテッパンの深煎りでした。
チムニー珈琲焙煎所さんではコーヒー豆を少量から買えますが、ここではそれぞれ100gずつ買いました。おうちで淹れた様子は次章で紹介します。
基本情報:チムニー珈琲焙煎所
チムニー珈琲焙煎所さんは、店舗を持たない珈琲豆屋さん。出店情報はインスタグラムなどでご確認下さい。

クリエイターズマーケット Vol.49
おうちに帰って淹れてみた
家に帰ってから気付いたのですが、パッケージにはちゃんと焙煎日も記されていました。その日付はクリエイターズマーケット初日の前日と前々日。このイベントに対する意気込みが感じられます。
大事に焙煎されたコーヒーを、baguette rabbitのパンとペアリングしてみました。
ベトナム未来農園 ワインのロブスタ
まずはベトナムのロブスタから。パッケージを開けると、まずフルーティーな香りが漂ってきました。さすが鮮度が良い豆は違います。

キレイな豆ですね。深煎りとのことですが、表面に深煎り特有の油分は浮いてきていません。実際、アラビカ種と比べてロブスタのコーヒー豆に含まれる脂質は少ないとのこと。

この豆を挽くと、漂う香りは、まるでワイン。
ドリッパーはKINTOのメッシュフィルターを選びました。ペーパーフィルターを通り抜けられない成分も抽出されるので、コーヒー豆本来の味が出せます。私は個性的な豆を初めて淹れるときによく使います。

そのお味は、口当たりが極めて軽く、スッキリ。でもそのスッキリさの中の香りは、思った以上に複雑。苦味は優しく、この「ほろ苦さ」が良い感じです。
これをbaguette rabbitの「オレンジのブリオッシュ」と合わせました。ブリオッシュらしいふっくら柔らか食感に、オレンジの香りが印象的です。

このブリオッシュ、鼻を抜けるのはオレンジの甘い香りなのですが、その味わいにはオレンジピールのほろ苦さがあります。ワインのロブスタと味の方向性が期待以上に絶妙で、相性抜群のペアリングになりました!
山に連れてく珈琲 マンデリン リントン
続いて、深めの中深煎りのインドネシア マンデリン リントン。テイスティングカードから抜粋させていただきます。
ハーブや針葉樹系の爽やかさと、クセになる甘い土の香りは、大人がホッとたそがれるひとときに。森のキャンプや登山にピッタリの味。
出典:チムニー珈琲焙煎所

買ってすぐ淹れた時は、苦味はスッキリしているけど主張があり、コクはまろやか。そしてどこかフルーティーな香りが鼻を抜けていきました。
でも鮮度の良い豆は、良い意味での「経時変化」を楽しめます。

選んだドリッパーはカリタの3つ穴。このドリッパーは、ちょっと古い記事ですが「十人十色のハンドドリップ:やっぱりKalitaが好き」で詳述していますので、興味があれば見てみてください。コクの深煎りと相性が良いドリッパーだと、個人的には思っています。

買ってすぐに淹れた時は、こんなにまろやかなマンデリンがあるんだ、と思いました。でもしばらくしてから淹れると、主張のある苦味の中からハーブと言うか、どこかスパイシーな香りが顔を出してきました。焙煎後も豆の中で化学変化が続くようです。
合わせたのはbaguette rabbitの「ピンクペッパーとイチジクのスコーン」。季節限定の商品です。
スコーンの香りは仄かに甘いのに、口に含むとピンクペッパーのスパイシーな味と香りが口いっぱいに広がります。食感は、スコーンとナッツのざっくり感が、イチジクの果肉のしっとり感と種のプチプチ食感と合わさり、口の中を愉しませてくれます。

スコーンもマンデリンも、複雑でリッチな味わいにスパイシーな香り。こちらも味の方向性が絶妙で、お互いを高め合う最高のペアリングになりました。
今回はお気に入りのbaguette rabbitの「パン」(広い意味で)と合わせましたが、ワインのロブスタはティラミスと、マンデリン リントンはオレンジ風味の焼き菓子や甘じょっぱいあられとの相性が良いとのこと。今度試してみたいです。
Instagramから
私がクリエイターズマーケットに行ったのは12月9日。この記事は諸事情により時差投稿となりましたが、先行してインスタグラムに投稿していました。ここにない写真も載せていますので、良かったら覗いてみてください。
近頃コーヒー豆のパッケージにデザイン性を感じることも多々ありますが、これはいいですね。
もちろん、パッケージだけじゃなく、中身も。パッケージに書かれた焙煎日を見ても、このイベントに対する心意気が分かります。
こちらの投稿では視点を変えてスコーンを主役にしています。フードペアリングのいいところは、飲み物と食べ物、どちらを入り口にしても楽しめること。
アラビカとロブスタ、種と品種
先ほどは「コーヒーノキはアラビカ種とロブスタ種(正しくは「品種」)に大別されます」と書きました。
もう少し詳しく書くと植物の分類上、コーヒーチェリーを実らせる植物としてのコーヒーノキは「属」という分類。コーヒーノキ属に分類される主な「種」にはアラビカ種とカネフォラ種があり、このカネフォラ種に属する代表的な品種がロブスタです。

一般に流通するコーヒー豆のほとんどはアラビカ種に属するいくつかの品種と、ロブスタという品種です。そのため便宜上「アラビカとロブスタに大別」されます。
例えば、アラビカ種に属する品種のひとつが「ゲイシャ」です。

ロブスタはアラビカ種より病気(サビ病など)や害虫に強く栽培しやすいのですが、味わいではアラビカ種に敵わないため、先述のように主にインスタントコーヒーなどの原料として使われます。それ故、チムニー珈琲焙煎所さんの説明には「ロブスタとあなどるなかれ」と書いてあるのですね。
以前とよたまちおとフェスでお会いした焙煎士、Shape Hat Coffee & Roastさんも、ロブスタでもちゃんと淹れると美味しいものがあり、時々好んで飲むという話をしていました。正直に申しますと、この話を聞くまで私は、ロブスタはインスタントコーヒーくらいにしか使われないと思い込んでいました。

コーヒーも、みんな違って、みんないい。
これからも、先入観を持たずにいろんなコーヒーを楽しんでいきたいです。
参考文献
コーヒーの種や品種など、これらの本を参照させていただいています。
コーヒーを正しく知るために
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