抹茶で有名な西尾市で、せっかく抹茶を飲むならここで!という場所に行ってきました。西尾市歴史公園内にある、旧近衛邸。茶の湯文化を伝える歴史的建造物で、気張らずに気楽にお抹茶を楽しめます。

三河の小京都、抹茶の里、西尾に行ってみた

このブログで度々愛知県内でお抹茶をいただけるお店を紹介していますが、その中には「西尾の抹茶」を使用しているところが多いです。今回はその「抹茶の西尾」を久々に訪れました。一番のお目当てが旧近衛邸です。

「旧近衛邸」と書かれた立派な門と、その向こうに見える旧近衛邸
旧近衛邸へは本丸丑寅櫓側にあるこじんまりとした門からも入れますが、鍮石門側から入り、この門をくぐるのがお勧めです。

旧近衛邸は、京都にあった近衛邸の一部、書院と茶室を平成7年に移築したものだそうです。今旧近衛邸があるのは西尾城の二之丸だった場所で、当時は御殿があったようです。

旧近衛邸の縁側から見た庭園と、その向こうに見える本丸丑寅櫓
見てください、この眺めを。日本庭園と、その向こうに櫓(天守閣じゃないですよ!)を眺めながらいただくお茶とお菓子は格別です。

旧近衛邸は近衛邸の一部である書院と茶室、と書きましたが、お茶を頂く場所は実は茶室ではなく「畳廊下」か「広縁」です。でも、これがいいんです。庭園を眺めながらお抹茶を頂けますから、縁側でお茶を飲む感覚で。

旧近衛邸の縁側に置いた抹茶と、和菓子と、その向こうに見える日本庭園
庭園の眺めはもちろん、茶器や和菓子も目を楽しませてくれます。自然を楽しむ日本人の心が表れているのではないでしょうか。

お店の方々の対応も丁寧です。立冬も過ぎ、この日は少し肌寒かったです。縁側の席を選ぶと、寒くないですか、と気を遣っていただけました。実際のところ、多少寒くても、景色を眺めながらお茶を頂くのはいいものです。

旧近衛邸にて、抹茶と、器に載せられた季節の和菓子「みのり」
立冬を過ぎても晩秋の気配が残るこの頃、季節の和菓子「みのり」を頂きました。食べ物にも季節の移ろいを感じさせる日本の文化が私は好きです。

先ほどは「縁側でお茶を飲む感覚」なんて書きましたが、もちろん、お抹茶も季節の和菓子も上等なものです。茶道の作法を知らなくても、日本の伝統文化を気軽に体験できる、そんなところが好きです。

茶の湯文化の他にも、建物自体にも見所があります。

旧近衛邸で、畳廊下から見る「次の間」の向こうにある茶室
お抹茶をいただく畳廊下の向こうにある茶室。向かって左側の障子は庭に続くにじり口風の入口。天井は杉の皮を編んだもの。畳に映る、風に揺れる木々の影も綺麗でした。

建物の奥にある茶室も見ることができます。この日は午後の早い時間に訪れましたが、ちょうど窓から差し込む光が庭園に植えられた木々の影を畳に映し、しばらくその光景に見惚れていました。

日本人に生まれて良かったな、と思える場所です。

基本情報

愛知県西尾市錦城町231-1 西尾市歴史公園

(呈茶時間) 10:00~16:00
最新情報は施設案内でご確認ください

旧近衛邸、西尾市歴史公園

西尾市歴史公園

前述のように旧近衛邸は西尾市歴史公園内にあります。

西尾市歴史公園は、西尾のシンボル「西尾城」の一部を復元し、新たな歴史文化の発信地としたものです。緑に映える本丸丑寅櫓の瓦、数寄屋風の旧近衛邸、趣向を凝らした京風庭園の尚古荘、抹茶ラボ西尾伝想茶屋店など、心を落ち着かせる風景の中、六万石の城下町を偲んだり、歴史を考察したりしてみませんか。

西尾市ウェブサイト「施設案内 西尾市歴史公園」(https://www.city.nishio.aichi.jp/shisetsu/1005437/1002603.html)
西尾市歴史公園に復元された本丸丑寅櫓と、その石垣
西尾市歴史公園の中で目を引く本丸丑寅櫓は城内の隅櫓のうち一番高い建物だそうです。櫓の内部は見学できます。

「お城」と言えば天守閣が注目され、それだけを再現して「〇〇城」とするところもあるようです。しかし実際のお城、または「城郭」は天守閣を中心とした櫓や曲輪、堀などを含めた広い範囲を指します。西尾城の天守閣はその石垣「天守台」を残すのみですが、かつての本丸と二之丸にいくつかの建造物が再現されています。

本丸丑寅櫓の最上階から見た西尾市歴史公園
本丸丑寅櫓から見た西尾城の二之丸。中央は丸馬出の跡に造られた庭園で、その左が旧近衛邸。芝生の向こうに見える石垣が天守台。通常は本丸に築かれる天守が二之丸にあるのが西尾城の特徴とのこと。

お城の目玉である天守閣はなくても、残された遺構や再現された建造物を見て昔を偲ぶのもいいでしょう。余談ですが、写真に見える芝生の広場は、以前「GOSPEL CAFE @ Cafe Hope」で紹介したRadiyaさんがIdea時代に24時間TVのチャリティーコンサートを開いた場所でもあります。

本丸、二之丸から少し離れた東の丸に造られたのは「尚古荘」です。

西尾市歴史公園の施設の一つである尚古荘の庭園
尚古荘の庭園では紅葉が始まっていました。

昭和初期に米穀商・岩崎明三郎によってつくられた、この地方では珍しい京風庭園で、西尾城東の丸の遺構を生かして作庭されています。

西尾市ウェブサイト「施設案内 西尾市歴史公園」(https://www.city.nishio.aichi.jp/shisetsu/1005437/1002603.html)

尚古荘内で営業するお茶屋さんについても触れておきましょう。「地元を思う気持ちが詰まった」お店とのこと。

西尾の抹茶スイーツ – 抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店

西尾と言えば抹茶と並んで「抹茶スイーツ」も有名です。名鉄では「西尾のスイーツきっぷ」も販売していました。お抹茶は飲んだことがないけど、抹茶スイーツは好き、という人も多いのではないでしょうか。

「映える」スイーツを売りにしたお店の紹介はこのブログの趣旨に沿いませんが、今回旧近衛邸でお抹茶と和菓子を楽しんだ後に寄った、西尾市歴史公園内にある「抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店」を紹介します。コンセプトは「西尾の抹茶を世界に届ける」とのこと。

抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店の店内
建物は新しいのですが、和を楽しめるモダンな造りになっています。

ガチャピン色のムックに見えるのは「西尾抹茶モンブラン」。映えを狙っただけではなく、西尾の抹茶の濃厚な味を感じられます。

紙のカップに入っているのはお抹茶です。茶道の作法に抵抗がある人には、この方が馴染みやすいのでしょうか。風情に欠けますが、抹茶好きとしては、それでもお抹茶が好きになってもらえれば嬉しいです。

抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店の基本情報

愛知県西尾市錦城町122

10:00~17:00
最新情報はお店のウェブサイトでご確認ください

抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店

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