京都に行ったら訪れてみたいと思っていたお店に、やっと行ってきました。小川珈琲さんの堺町錦店。京都らしい洗練されたデザインもさることながら、エシカルな取り組みにも注目です。
錦小路から堺町通を歩いてみた
錦市場と言えばいつでも観光客で賑わう活気のある通りで、中には以前姉妹ブログ「SweetsオトコのCafeめぐり」で紹介した雲ノ茶 KUMONOCHA 錦市場店みたいに例外的にお洒落なお店もあったりします。そんな錦市場からちょっと歩いて、喧騒から離れた場所にあるのが小川珈琲さんの堺町錦店です。
お店に着いたのは午前10時を少し過ぎた頃でした。

席が準備できるまで入口近くの椅子に腰かけて待っている間に気になったのは、高い天井。後で分かったことですが、そこには中二階があり、ちょうどその時書道のセミナーが行われていました。入口に掲げられた「書と珈琲」は、このことでしたか。

待っている間に来店して2階に上がっていった人はセミナーの参加者だったんですね。しばらくして礼儀正しいスタッフさんに席に案内されましたが、店内もクールですねぇ。

クールさを前面に出して紹介してしまいましたが、「和」の良さもありますよ。印象的だったのは和の中庭。京都のベタ、と言えばそれまでですが、それでも普段「和」に触れることが少ない日本人にとっても、この雰囲気にはホッとします。

先述のように入店は午前10時過ぎでしたので、モーニングメニューを頼める時間帯です。そこで気になったのはやっぱり、自家製食パンの炭焼きトーストセットですね。自家製食パン、ですよ!
選んだのは「炭焼きトースト 糀バターと季節野菜のポタージュ」と、合わせたコーヒーはインドネシアのミディアムです。インドネシアと言えばマンデリン、マンデリンと言えば深煎りのイメージがあります。でもメニューを見るとインドネシアはダーク(深煎り)とミディアム(中煎り)を選べますし、浅煎りのイメージがあるエチオピアも同じくダークとミディアムを選べます。
エチオピアといえば以前「コーヒーを淹れてみた」で「浅煎りのエチオピアを淹れてみた」と「中煎りのエチオピアを淹れてみた」を紹介していますので、興味のある方は見てみてください。
インドネシアのミディアム
上述のようにインドネシアのミディアムに、エチオピアのダークもある。気になったのでお店の方に尋ねると話はそれだけにとどまらず、この堺町錦店の特徴でもある「エシカル」に話が及びました。同じ小川珈琲さんの店舗でも、この堺町錦店では扱う豆が違うことを誇らしげに語る姿が印象的でした。
しばらく待つと来ました、この店舗の特徴でもあるネルドリップのインドネシアが。

豆の量も多めで、挽きも細かくしてネルドリップされたそのお味は。確かに濃ゆいのですが、全然しつこくなく、もちろんエグ味もなし。純喫茶にありがちな、砂糖を入れることが前提のようなネルドリップコーヒーとは違います。
濃さは苦味と違い、その苦味はむしろマイルド。豆の味の力強さを感じます。

ゆっくり楽しんでいると、そのマイルドな苦味の中に仄かなフルーティーさを感じました。
自家製食パンの炭焼きトーストセット 糀バターと季節野菜のポタージュ
このブログにはベーカリーカフェめぐりというカテゴリーがあるくらい(追記:後にBakeryめぐりの姉妹ブログとして独立させました)、コーヒーとパンは相性がいいですよね。コーヒー専門店の自家製食パンなら、期待してしまいます。京都産小麦食パンと全粒粉食パンから選んだのは、京都産小麦食パン。

そのトーストは持てばフワフワ、でも噛んだ食感はモチモチ。やられましたね。糀バターも良い香りです。
コーヒーとの相性はもちろん、期待以上だったのはポタージュとの相性。素材の野菜の良さが出ている、夏に嬉しい冷製ポタージュです。

良い意味で淡白で、上品な味のポタージュは、ちぎったトーストを行儀良く浸していただきました!パンをスープといただく醍醐味がコレです。
その後味が残るところにミディアムのインドネシアを口に含むと、さっきはマイルドだった苦味をハッキリと感じるようになりました。こんな組み合わせもいいですね。

コーヒーにも料理にも、お店の方のホスピタリティにも癒やされました。最後にエシカルなコーヒーについて少し考えてみます。
基本情報

エシカルなコーヒー
そうだ、京都行こう。
と思ったことがある人は、新幹線のホームでこの看板をみたことがあるかもしれません。小川珈琲さんの広告です。

その中の一文を抜粋します。
珈琲づくりの基盤である地球環境や生産者の暮らしを守っていくこと。
小川珈琲株式会社
環境と言うと「エコ」という曖昧で薄っぺらな話になりがちですが、生産者の暮らしを守る、となると話は違います。コーヒー生産者が収穫したコーヒー豆が1杯のコーヒーになるまでの間に、中間業者によって生産者の利益が搾取されることも、実はよくある話なんです。
そんな状況で生産者に対して公平(フェア)な取引(トレード)を推進する国際的な認証制度がフェアトレードです。
「世界フェアトレード・デー・なごや」では、フェアトレードに限らず生産者に配慮した取り組みをする方々からいろんな話を聞いてきました。
コーヒーサミット @ 第14回 世界フェアトレード・デー・なごや
小川珈琲さんの堺町錦店でもフェアトレード認証のコーヒー豆を使っています。前述のように、お店の方もそのことを誇りに思っているようでした。堺町錦店の特設サイトから一文を引用させていただきます。
「小川珈琲 堺町錦店」のコンセプトは、“100 年先も続く店”。私たちが長年にわたり取り組んできたサステナブルな活動をより深くお客様に体験していただくために、珈琲づくりの基盤である地球環境や生産者の暮らしを守る一助となる、有機JAS 認証や国際フェアトレード認証をはじめとするエシカルコーヒーのみをラインアップ。
小川珈琲ウェブサイト「小川珈琲 堺町錦店」(https://www.oc-ogawa.co.jp/nishiki/)
今回いただいたインドネシアも、そのウェブサイトを見れば生産者の顔が見えてきます。
フェアトレードは認証制度の一つですが、違うアプローチで生産者を守る取り組みを行っているカフェを紹介します。
独自の流通ルートを持つことで知られる猿田彦珈琲さんは、中間業者を介さないダイレクトトレード。正当な価格で取引する、という考えはフェアトレードと共通です。

猿田彦珈琲さんは生産者に優しいのはもちろん、お客さんに対するホスピタリティも素敵で、居心地のいい場所です。私が今住んでいる名古屋にある猿田彦珈琲さんの名古屋則武新町店にはちょくちょくお世話になります。
珍しいのは、個人経営の街カフェでありながら生産者と直接取引をする、大阪のコロンビアコーヒー専門店、CAFETALESさん。

コーヒーノキの栽培から、1杯のコーヒーまで、街カフェでありながらトレーサビリティがしっかりしているCAFETALESさんは、街カフェらしい温かい場所です。
コーヒーノキの栽培から1杯のコーヒーになるまでの履歴、つまりトレーサビリティがしっかりしているスペシャルティコーヒーやシングルオリジンコーヒーは「通常」の「コモディティコーヒー」よりも概ね高価ですが、そこには意味があります。そんなコーヒーを飲むことが間接的にでもコーヒー生産者を守ることに繋がれば、ちょっと気分がいいですよね。これが「エシカルなコーヒー」です。
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