祖父と父が守ってきた和菓子を届けたい、という想いで始めたクラウドファンディングへのリターンとして開催されたワークショップに行ってきました。梅のやさんの練り切りワークショップ。生まれて初めての体験は、楽しくてあっという間に過ぎていきました。
クラウドファンディング – 和菓子キッチンカーへの挑戦
「愛知県から東海地方へ!祖父と父が守ってきた和菓子をキッチンカーで届けたい!!」と題したクラウドファンディング。きっかけは金山駅コンコースのIKO→MaIに江南市が出店した2月に、5日間だけ出店した梅のやさんの和菓子を買ったことでした。
IKO→MaIで買った梅のやさんの和菓子
立ち話をする中で、一度は保育士として働いた後に祖父が始めた稼業を守るために和菓子の修業を積んで実家に戻ったという話が印象的でした。そこで知ったのがこのクラウドファンディングです。
和菓子詰め合わせというリターンもある中、ちょっとだけ奮発して選んだのがこの練り切りワークショップです。TVドラマなんかで和菓子職人が練り切りを作るシーンとか印象的ですからね、興味がありました。
まず、その梅のやさんを紹介します。
御菓子司 梅のや
先述のように、梅のやさんは江南市にある和菓子屋さんです。お店のウェブサイトから引用させていただきます。
昭和47年創業、尾張江南の地で和菓子を作り続けております。
梅のやウェブサイト「店舗案内」https://www.umenoya-kounan.com/shop.html
昔ながらの伝統を守りつつ、さらに美味しさを追及した自慢の和菓子は、定番のものから季節限定のものまでさまざまな種類をご用意しております。丹精込めて作り上げる和菓子の数々をお楽しみください。
今住んでいる名古屋から江南市は「ちょっと行ってくる」ところではありませんが、犬山観光がてら寄っていくのにいい場所です。この日は犬山で紅葉を愛でた後、梅のやさんを伺いました。
お店に入ると、ショーウィンドウに並んだ数々の和菓子ももちろん気になりますが、私の目を引いたのは、このシュガークラフト!「シュガークラフト」という言葉から想像するスケールをはるかに超えています。

先述のように先生は保育士から和菓子職人に転じたのですが、実はその道の始まりは調理師学校で習った洋菓子。その調理師学校で製作した作品として、4ヶ月かけて仕上げたそうです。

そんな和菓子職人さんが作る和菓子には洋菓子の要素も入っていますし、今回のワークショップでも練り切りの他に洋菓子も選べることになっていました。私が選んだのはスコーン。
スコーンは姉妹ブログHiroのCafeめぐりでも北浜のElmers Green Cafeさんや梅田のBlue Bottle Coffee 梅田茶屋町カフェさんで紹介していますが、何より忘れられないのは金山のcafe_asileさんでいただいた焼きたてホヤホヤのスコーン! 今回も実は、焼き立てのスコーンを食べられるかな、と密かに期待していました。

ちなみに、スコーンって洋菓子のようでもあり、ベーカリーでも作られてて、お食事みたいな食べられ方もする。そんな疑問を素直に投げかけると「イギリス菓子ですね」との答え。はい、納得しました。
スコーンはSweets写真館でもパンの写真館でもいろいろ、と言うか、まったく個性が違うスコーンたちを紹介しています。
スコーン
このワークショップの主役は練り切りですが、まず焼き上がりに時間がかかるスコーンから作り始めました。分量を量ったすべての材料がボウルに用意されていて、それを混ぜるところから教わりました。
実はスコーンを作るところを見たことはあるのですが、バターは溶かした方が混ぜやすそうなのに、なんて思ってました。オーブンの中で溶けだすのがいいんですね。

切り分けたスコーンをオーブンに入れてから練り切り教室が始まりましたが、その間ちょくちょくオーブンを覗き込むと、膨らんでいくスコーンが可愛く見えました。スコーンが可愛いって、初めての感情です。
で、練り切り教室の最中に焼き上がったスコーンを1つだけその場でいただきました。ホカホカのスコーンは、外がサクサクで、でもそのサクサクさはクッキーともパンとも違う。焼きたてスコーンならでは、ですね。中もフカフカで、噛むほどに味が出る。


この写真は自宅で撮影しました。
最後に、家で「小倉スコーン」を作れるようにとあんこをいただきました。自宅で、和菓子屋さんの粒あんを載せた贅沢なスコーンを美味しくいただきました。
ちなみに、和菓子屋さんにオーブンってちょっと意外でしたが、Sweets写真館でも紹介した不老柿のように和の焼き菓子を作るのにオーブンを使うと教わりました。
練り切り
さて、主役の練り切りです。Sweets写真館の登場はまだ少ないですが、もちろん好きな和菓子のひとつです。前述のように、TVドラマなんかで練り切りを作るシーンがあると和菓子職人感がよく出ますよね。
こちらも材料はすべて用意されていて、原料の違いによる色や食感の違いなどを教わりました。まず道具の使い方や餡の包み方を練習し、いよいよ本番です。
菊花
黄色く色付けられた白餡を白い白餡で包んでから、その白餡で小豆餡を包みます。と、言うのは簡単ですが、この「包む」という作業が難しいんですよね、ホントに。それでも本番は1回なので、意を決して無心で包みました。

包み終わったら上下を返して、道具を使って窪みを作ると中から黄色い餡が見えるようになって、菊の花っぽくなります。練り切りにこんな仕組みがあるって、初めて知りました。
家に持ち帰り、恐るおそる切ってみると… 想像していたよりもうまく包めていました。下側、つまり包み終わるところが上や横より薄い方がいいとのことですが、ちょっと薄すぎるかな。


愛おしくて、しばらく眺めていましたが、食べちゃいました。ねっとりとなめらかな白餡とこし餡が口の中で上品に溶けていきます。それを目で愛でてからいただく、和菓子っていいですよね。
山茶花
先ほどの菊花は黄色が後から出てくるように作りましたが、こちらは赤く色付けた白餡と白い白餡をペタッと合わせてグラデーションをつくり、その赤と白のグラデーションがそのまま表面に現れるようにします。
そのグラデーション白餡で小豆餡を包み(…ってまた簡単に書いてますが、苦戦しました)、茶巾で絞って窪みをつけます。

黄色く色付けた白餡を細かい網で濾しておしべのようにして、先が細い箸で窪みに載せます。その箸、割りばしの先を鉛筆のように細く削って作っていました。和菓子作りにはこんなテクニックもあるんですね。
これも自宅で切ってみました、恐るおそる。


その断面、対称になってないですけど、愛嬌ですよね。見方によっては笑い顔に見える、かな?
菊花もそうでしたが、お抹茶と一緒にいただきたい味わい。でも、中深煎りのコーヒーや和紅茶など、ペアリングの可能性を探ってみたくもなりそうですね。
練り切りの見本は梅のやさんのインスタグラムで見てくださいな。練り切りって、実に多種多様です。
クリスマスツリーのきんとん
練り切りの他にも何か、とのことでしたので、その作り方に興味があったのがきんとんでした。Sweetsカフェめぐりで紹介した名古屋城前の蓬左さんや桑名の花乃舎さんでもいただいて、実はその作り方も気になっていました。
先ほどの山茶花のおしべと違い、今度は大きめの網で羊羹生地をグイッと押し出してほろほろにします。練り切りを包むような緊張感はありませんが、このほろほろを丸めた粒あんに箸でまとわせるのは、面白いようで、難しい。

そこに、色付けた白餡をオーナメントとして飾り付けていきます、クリスマスツリーのように。そう言えば小さい頃、家にもあったな、小さなクリスマスツリーが。
先生は指先で器用に餡で星の形を作っていましたが、これも結構難しいです。


これも切ってみました。期待するものは練り切りと違いますが、これも可愛いですね。粒あんも、ふわふわにした羊羹も、似てるようで違う甘さと食感があって、それが口の中で合わさる。こちらもやはり、お抹茶に合いそう。
ワークショップを振り返って
このワークショップ、実は2時間ちょっと続いたのですが、体感時間はもっと短かったです。楽しんだ証拠ですよね。奥深い和菓子作りの世界をちょっとだけ垣間見みさせていただき、貴重な体験でした。
お話をする中で、私がカナダに住んでいた頃はよく日本食を自分で作っていた、なんて話もしました。今思っても、美味しいものを作って食べるって、やっぱり大事ですよね。

今回はクラウドファンディングへのリターンとしてのワークショップでしたが、練り切り教室は度々開いているとのこと。これが定例ワークショップになったら面白いですよね。期待してしまいます。たまには名古屋にも来てくださいね!
基本情報

Sweets写真館から
梅のやのさんの和菓子はSweets写真館でいろいろ紹介しています。

























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